■増田元総務相の“傷”
自民党は、“政治とカネ”の問題で、猪瀬、舛添と2代にわたって都知事が失脚したことに懲り、“安全パイ”として官僚出身者の擁立を模索した。
そこで、白羽の矢が立ったのが、人気アイドルグループ「嵐」のメンバー、櫻井翔の父親である桜井俊前総務事務次官だったのはご存じの通りだ。
結局、櫻井パパには固辞され、2番手として浮上したのが、建設官僚を経て、岩手県知事も3期12年務めた増田元総務相である。
とはいえ、脛にまったく傷がないわけではなかった。
「増田さんの実績は、無駄な大型開発や公共事業を推進し、1兆4000億円もの莫大な負債をつくっただけ。その額は、知事就任前の2倍に上ります」
と、共産党の斉藤信岩手県議が振り返る。
「退任直前には、競馬組合の借金問題で大揉めでした。知事がそこの管理者なのですが、何ら有効な手も打てず、借金を330億円にも膨らませ、県などに肩代わりさせました。
その責任を取って、増田さんは給料2カ月分、約200万円のカットを申し出た。でも、我々が給料だけでなく、約3900万円の退職金の返還も求めると、
それ以降、ダンマリを決め込み、結局、一切懐を痛めずに、岩手を後にしたのです」
到底、“改革派知事”には見えなかったという。
ともかく、自民党は組織票をバックにつけた増田元総務相と、あえなく袖にされた悲劇のヒロインという役回りの小池元防衛相が対峙し、分裂選挙に突入することになったのである。
http://www.dailyshincho.jp/article/2016/07201030/?all=1