参院選(7月10日投開票)では、働き方改善や花粉症抑止、結婚制度の変革など、日常生活に身近なテーマの政策を、各政党が公約に盛り込んでいる。どれも主要な争点にはなっていないが、有権者もこうした「隠れた公約」を投票の参考にしてみては?
■退社後11時間は休息を
民進党、共産党、社民党は、表現が微妙に異なるものの、退社から翌日出社するまで最低11時間の休息時間を確保する「インターバル規制」を掲げる。自民党、公明党、おおさか維新の会も、数字は明記しないが、同様の政策を明記した。欧州連合(EU)では義務化され、例えば午後11時まで残業すれば、翌日の午前10時まで出勤しなくてもよい。日本でも自主的に導入する企業がある。
■月曜半休
共産はサービス残業に2倍の残業代を支払うことを追記した。公明は、月曜半休を促進する。公明の府本部は「暗い気分になりがちな月曜の午前をゆっくり過ごせ、旅行などの経済効果も期待できる」。
京都府は週60時間以上働く男性が19・1%と都道府県で最も多く、女性も6・3%で東京都に次ぐ2番目だ。いずれも、働き過ぎの府民にとって、実現すればありがたい公約だ。
■花粉症ゼロ
自民は「花粉症ゼロ社会」をうたう。原因となるスギを別の木に植え替えたり、花粉の拡散防止技術の開発を進めるという。花粉症は30%の国民が苦しんでいるとの統計がある。単純計算で京都府民は約80万人、滋賀県民は約40万人が、憂鬱(ゆううつ)な春を迎えている。マスクが手放せない人には魅力的に映るだろう。
■討論必修
ディベート(討論)の授業を小中学校で必修化すると掲げるのは、おおさか維新。かつて元代表で弁護士の橋下徹氏は他党の政治家や霞ケ関の官僚を論破して喝采を浴びた。おおさか維新傘下の京都維新の会の地方議員は「橋下氏のように、思っていることを正しく伝えられる能力を身に付けてほしい」。
■同性婚OK
社民は「同性婚の実現」を公約にする。元党衆院議員の東京都世田谷区長が昨年11月、LGBT(性的少数者)に配慮し、同性カップルのパートナー宣誓制度を創設した。憲法は婚姻を「両性の合意」と定めるが、社民府連は「『両性』とは『2人』という意味。憲法は同性婚を否定していない」と解釈し、改憲は不要としている。
公約集を細かく見ると、候補者や応援弁士の街頭演説では聞かれないユニークな項目も少なくない。実現に高い壁のある政策もあるが、各党の目指す社会や基本的な姿勢が伝わってくる。主要争点のアベノミクスの評価や安全保障法制以外で違いを見極めたいという有権者は一度、各政党の公約集を読み込んでみてはどうだろうか。
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20160701000074
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