原油安で経済危機が続くベネズエラで、物価の高騰が市民生活を直撃している。外国為替管理も経済に大きなひずみを生んでおり、政府の固定 レートを適用すると、たばこ1箱が8万5000円、野球のグローブが89万円に相当する価格で売られている。
「売店のサンドイッチすら高過ぎ て買えない。おなかがすいた」。難関で知られる国立ベネズエラ中央大学のキャンパスで、アナ・アルカラさん(23)は疲れ切った表情を浮かべて地面に座り込んでいた。
国際通貨基金(IMF)は、2016年の同国インフレ率が約500%と予想。17年は約1600%と見込んでいる。為替レートの下落が、多くの食料や生活物資を輸入に依存する同国の物価を押し上げている。
ベネズエラは医療品や食料品の輸入については、価格を抑えるため、1ドル=10ボリバルの固定レートを採用している。一方で、実勢を反映する闇レートは、1000ボリバル前後まで跳 ね上がっている。
闇レートで500ドルを換金すると、最高額紙幣100ボリバル札が約5000枚。現地の企業関係者は「持ち運びにリュックが必要な量の札束になる」と苦笑する。
モノ不足が続くベネズエラでは、 インフレへの防衛策として、安い価格統制品を買い求める市民のスーパーでの行列が日常の光景になっている。数時間並んで購入した商品を数十倍の価格で富裕層に転売する動きも目立ち、地元紙は「貧困層の新たな収入源」と皮肉っている。
http://www.jiji.com/sp/article?k=2016070100857&g=int
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