メスの目移りを防いで恋敵に勝つ--。メダカのオスは、他のオスとカップルにならないようにメスの視界を遮る行動をしているとの分析結果を、自然科学研究機構基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)と岡山大の研究グループが発表した。ドイツの動物学専門誌の電子版に2日掲載された。
別のオスからメスを遠ざける「配偶者防衛行動」は、さまざまな動物で見られるが、多くの動物は産卵時期など一定の期間に限られる。研究グループはメダカがほぼ常時、こうした行動をとることに着目。メスと他のオスとの物理的接触を妨害する以外にも、何らかの目的があるのではないかと推測した。
実験では、まず透明な仕切りで三つに区切った水槽の端からメス、オス、オスの順でメダカを入れると、メスに近い方のオスは、メスとライバルの間に割り込むように泳ぐ配偶者防衛行動をとった。
翌日、仕切りを外してオス2匹とメスをそれぞれ引き合わせると、メスは近くにいたオスの求愛をすぐに受け入れたが、遠い方のオスは拒絶する傾向を示した。
次に防衛行動ができないよう遺伝子操作したオスをメスの隣に入れ、翌日、同様にオスとメスを引き合わせたところ、メスは遠い方のオスの求愛をすぐに受け入れたという。研究グループは「恋に勝つ条件はメスの近くにいるだけではなく、メスの目に留まり記憶されることも重要」と説明した。
同研究所の横井佐織研究員(生物学)は、オスのメダカの防衛行動は、自分の子孫を残すために物理的に他のオスを近付けないことと、メスに他のオスを見せない二重の戦略を取っていると指摘。「今後は野生のメダカを調べ、自然界でのオスとメスの絆の形成を明らかにしたい」と話している。【太田敦子】
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