政府、第4次産業革命実現へ官民会議設置
[2016年5月20日] J-Net
政府は19日に開いた産業競争力会議(議長=安倍晋三首相)で、名目国内総生産(GDP)600兆円に向けた成長戦略「日本再興戦略2016」案を取りまとめ、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などの技術革新を推進する「第4次産業革命官民会議」の設置を盛り込んだ。第4次産業革命を成長戦略の目玉に位置付け、予算も重点配分する見込み。人手不足を克服する生産性革命をはじめ、オールジャパン体制で産業・就業構造を変革する。31日にも閣議決定する。
成長戦略には、官民戦略プロジェクトとして、第4次産業革命など10分野を挙げた。新設する官民会議は従来の「未来投資に向けた官民対話」の機能を継承するが、メンバーは現在調整中。同会議を司令塔とし、「人工知能技術戦略会議」や「ロボット革命実現会議」、今後設置する「第4次産業革命人材育成推進会議」(仮称)など、関連する政府の複数の会議を統括する。政府は第4次産業革命の実現により、20年に30兆円の付加価値創出効果を見込む。中期目標から逆算する形のロードマップを作成。産業競争力会議で進捗(しんちょく)を適時確認する。企業による新たなビジネスモデルの構築を、行政による規制・制度改革で後押しし、官民協調による技術開発を推進する。
特に国全体へ普及させるカギを握る中堅・中小企業に対しては、小型汎用ロボットの導入コストを2割減らすほか、中小企業1万社のIT化を支援する。
また、ビッグデータやロボットを活用して医療、介護現場を改革する。企業や組織の垣根を越えたデータ利活用を進める一方、サイバーセキュリティーを強化する。
成長戦略は第2ステージに入る。第4次産業革命を軸に、企業内の豊富な内部留保を設備投資や技術革新、人材育成に振り向けさせ、生産性向上、潜在需要の開花を実現できるか―。政権の本気度と実行力が問われる。
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