現代アイドルが売る「商品」とは何か・あるいは私達は
2016年05月22日 22:21 シロクマ(はてなid;p_shirokuma)
(一部抜粋)
かつてのアイドルは、ファンから遠い存在だった。商品としてのアイドルは、テレビや雑誌や音楽CDにパッケージされたかたちで売買されていた。もちろん、過去のアイドルにも間近さを売る場面はあった――ラジオやファンとの交流会などがそうだ――が、アイドルとファンの関係性を近しいものとする機会とメディアは限られていた。
一方、現在のアイドルはテレビや雑誌や音楽CDをはみ出した存在でもある。握手会でファンの目を覗き込むこと、SNSでコミュニケーションすること、そういったものも含めてキャラクターを売り込んでいる。
日本で最も成功したアイドルグループからして、そのような間近さを含めたキャラクターを売っているのだから、この問題は根が深い。今日日、「私はファン獲得競争に勝つために関係性を売ったりしません」と言い切れるアイドルがどれぐらい存在するのだろうか? そして、そのような潔癖なアイドルを、ファンは本当に求めているのだろうか?
繰り返すが、アイドルファンはアイドルが売る商品を購入しているのであって、アイドルの“なかのひと”を人身売買しているわけではない。契約社会の論理に従った、適切なリテラシーをもって商品だけを受け取るべきである。
だが、現実にアイドル達が商っているのは、“あなたの間近なアイドル”という、関係性を含んだキャラクターなのである。アイドルファンに対して「商品だけを買ってください。私はあなたのものではない」と要求する一方で、売買されているキャラクターのなかには「私はあなたの間近なアイドルです。関係性の近しいキャラクターです」というニュアンスが拭いがたく含まれている。なんという矛盾!
考えようによっては、現在のアイドルは、契約社会の論理を盾にしながら密かに関係性を商っている、とも言える。親近感を帯びたキャラクターを売ってカネにする一方で、「あなたは私を友達や恋人と勘違いしてはいけません」と線を引くのは、契約社会の論理には適っていても、心理的には矛盾している。その矛盾を一種の前提としてアイドル商売が成り立っているのも事実だが、これは、ファンに高いリテラシーを要求する構図だ。SNSを使った“ファンとの交流”に熱心で、親しげな振る舞いをどんどん露出させているアイドルなどは、特にそうだろう。
(全文は以下ソースより)
http://blogos.com/article/176465/