ベネッセホールディングス(HD)は11日、原田泳幸会長兼社長(67)が退任し、後任の社長に福原賢一副社長(65)が昇格する人事を発表した。
原田氏は、2年連続で最終赤字に陥った経営責任を取り辞任する。6月25日の株主総会後の取締役会で正式に決める。代表権のない会長には元日立製作所副社長で社外取締役の岩田真二郎氏(67)が就き、原田氏が兼任していた中核子会社ベネッセコーポレーションの社長には小林仁副社長(55)が昇格する。
「業績悪化は(個人情報漏洩(ろうえい)の)事故が原因でも、経営トップの責任としてけじめを付ける」。原田社長は11日の会見で、ときおり涙を流しながら退任の理由を説明した。
ベネッセHDの業績不振の原因は、平成26年に発覚した個人情報漏洩問題だ。問題を受け主力の通信教育講座「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の会員が次々に流出。28年3月期の連結最終損益は82億円の赤字(前期は107億円の赤字)と2期連続の赤字だ。
原田氏は26年6月にベネッセHDの会長兼社長に就任したが、直後の7月に個人情報漏洩が発覚。アップルコンピュータ日本法人や日本マクドナルドホールディングスの社長を歴任した“プロ経営者”の原田氏でも、ブランド力の低下に歯止めをかけられなかった。期待されたデジタル化や海外事業の強化でも十分な成果を示せなかった。
「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」の会員数は今年4月時点で243万人と、前年同月に比べ10%減少。個人情報漏洩が発覚する前の26年4月に比べ33%も減っており、会員数の回復はいまだに見通せていない。
新社長に就任する福原副社長は「業績回復に全身全霊を注ぎ、リーダーシップを発揮する」と強調し、成長分野として海外や介護事業を強化する方針を示した。だが、ベネッセHDは売上高の5割を通信教育を中心とした国内教育事業に依存している。傷ついた信頼を取り戻し、中核の通信教育を立て直せなければ、本格的な業績回復は遠い。
ソース
http://news.livedoor.com/article/detail/11510460/