原子力規制委員会は20日、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機が新規制基準を満たしているとして、合格証の「審査書」を正式決定した。老朽原発では初の審査合格。ただ再稼働するには7月7日の期限までに運転延長と工事計画の認可も受ける必要がある。
東京電力福島第1原発事故後に改正された原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年と定め、規制委が認めれば1回に限り特例で最長20年の延長ができるとした。2基の合格で原則が形骸化する恐れもある。
1号機は1974年11月の運転開始から41年5カ月、2号機は75年11月から40年5カ月が経過している。
審査で問題となった全長約1300キロのケーブルの防火対策では、関電が燃えにくい素材に交換したり、防火シートで包んだりする対策を示し、規制委が了承した。
地震対策は、既に同じ敷地内の高浜3、4号機が審査に合格しており、最大加速度700ガルとする基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)は論点にならなかった。また関電の計画では、重大事故対策として原子炉格納容器の上部をコンクリートで覆う工事などが3年程度かかる。
新基準の審査に既に合格した原発は、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、高浜3、4号機、四国電力伊方3号機(愛媛県)の3原発5基。高浜3、4号機は再稼働後に大津地裁の仮処分決定で停止している。
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