新入学のシーズンに、学生服が値上がりしている。羊肉の世界最大の輸入国、中国で「火鍋」ブームが広がるなど羊肉が大人気で、学生服の素材となる羊毛用の羊が減っていることが一因だという。圧迫される家計を助けたり、制服を無駄にしたりしないように、再利用する動きも広がっている。
東京都新宿区の学生服販売店「スクールプラザフジヤ」は今春、学生服の値段を約10年ぶりに5~10%値上げした。1着あたり約1千~3千円高くなる。
梶谷二朗社長は「新入学のおめでたい時期なのに、お客さんには申し訳ない。仕入れ代が上がって値上げをしないと利益を出せない」と話す。
中学校に入学する長男のために約3万円の学生服を買った女性会社員(42)は「夏服、ワイシャツ、体操着、かばん……。全部で8万円もかかった。買いそろえてあげたいのが親心。でもやっぱり高いですね」。
学校や企業用の制服の生地メーカーで最大手の「ニッケ」(大阪市)は昨春、学生服の生地の値段を8年ぶりに7%引き上げた。こうした動きを受け、大手学生服メーカーが一斉に値上げ。いずれも岡山県に本社がある菅公(かんこう)学生服、トンボ、明石スクールユニフォームカンパニーの3社が今年、価格を数%値上げした。菅公の担当者は「生地の値段が上がり、企業努力に限界がきた」と話す。
総務省の小売物価統計によると、東京23区の今年1~2月の男子学生服の平均価格は、前年の調査対象期間(1~3月)よりも約4%高い3万1674円。大阪市も約8%高い2万6821円、名古屋市は1%高い3万3432円、福岡市も約7%高い3万7千円で、値上げは全国的な傾向だ。地域によって羊毛の含有率や生地の仕様などが異なり、値段にばらつきがあるという。
資源・食糧問題研究所(東京)や日本羊毛産業協会の説明では、生地の値上がりの要因の一つは、中国での羊肉の「爆食」だ。
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