遺伝子組換え反対派のウェブサイトなどで広く引用されている論文数本に、不正な画像改変などが見つかった。そのうちの1本はすでに取り下げられている。
遺伝子組換えダイズは多くの安全性検査に合格している。 DANIEL ACKER/BLOOMBERG/GETTY
遺伝子組換え作物を食べて育った動物に有害な影響が出ているとするナポリ大学(イタリア)のある研究室の論文が、データ加工の疑いにより学内調査を受けている。問題の論文を発表した研究室のリーダーは、この指摘には何の根拠もないとしている。
遺伝子組換え食品については世界各国の食品医薬品局がおびただしい数の安全性検査を行っており、食べても危険はないとされている。問題の論文は、こうした検査とは全く逆の知見が得られたと主張するもので、遺伝子組換え反対派のウェブサイトで広く引用されている。また、その実験の結果は、安全性が認められた遺伝子組換え作物の国内での栽培を許可するべきかに関して2015年7月にイタリア元老院が開催した公聴会の参考文献にもなった。
調査のきっかけは、ミラノ大学(イタリア)の神経科学者でもある元老院議員のElena Cattaneoが、この研究に疑問を抱いたことだった。「遺伝子組換え作物をめぐる論争にこれらの論文が政治的に利用されているという点でも、本件は非常に重要なのです」と彼女は言う。
公聴会の後、Cattaneoは3本の論文(参考文献1-3)を熟読した。論文はいずれもナポリ大学の獣医科学者Federico Infascelliの研究室が発表したもので、遺伝子組換えダイズを食べて育った母ヤギから生まれた子ヤギについて実験を行った結果、ダイズに組み込まれた外来遺伝子の断片が母ヤギの小腸から体内に取り込まれ、乳汁中に分泌されて、それを飲む子ヤギの体に影響を及ぼすことが確認されたと報告していた。
Cattaneoは、3本の論文全てに問題がありそうな点を発見した。電気泳動ゲルの画像のいくつかの区画が消されているように見えた上、別々の論文に使われている画像のいくつかが、キャプションによれば異なる実験のものであるはずなのに、全く同じに見えたのだ。
以下ソース
http://www.huffingtonpost.jp/nature-publishing-group/gmo-criticize-paper-fraud-allegations_b_9614222.html