緊急停止の高浜原発4号機 再稼働の3号機は高リスクのプルサーマル発電
アジアプレス・ネットワーク 3月1日(火)13時38分配信
関西電力高浜原発4号機が2月29日機器異常で緊急停止した。そのすぐそばにある高浜原発3号機は今年1月に再稼働を始め、プルサーマル発電が行われることになっている。これにより、国は長年頓挫している核燃料サイクル政策を再開させようとしているが、その危険性はどこまで検証されているのか。(高橋宏/新聞うずみ火)
◆プルトニウムを消費するため
1月29日、関西電力高浜原発3号機が3年11カ月ぶりに再稼働した。いや、再稼働されてしまった。昨年8月に再稼働した九州電力川内原発1号機、10月に再稼働した川内2号機に次いで、福島第一原発事故後に原子力規制委員会の新規制基準に合格した原発としては3番目の再稼働となる。そのためか、マスメディアの報道も川内原発の再稼働に比べると、やや扱いが小さくなっていた。
だが、高浜3号機は、川内1、2号機と同列に扱われるべきではない。この原発は、ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル発電」をするという点で、大きく異なっているのだ。マスメディアもこの点に触れてはいるが、その危険性や問題点についてはほとんど強調されていなかった。
日本は、原発から出た使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを利用する「核燃料サイクル政策」を掲げている。これまでに、イギリスやフランスに委託して再処理した分を含めて、約47トンのプルトニウムを国内外に蓄積してきた。プルトニウムは容易に核兵器に転用できるため、溜め込むことなく消費していくことが必要なのだが、その利用の要である高速増殖炉は、原型炉「もんじゅ」がナトリウム漏れ火災事故(1995年)を起こして以来、全く動かず開発が頓挫しているのが現状だ。そこで、プルトニウム消費の「本命」として浮上してきたのがプルサーマル発電なのである。
福島第一原発事故以前に、九州電力玄海3号機、東京電力福島第一3号機、四国電力伊方3号機、そして高浜3号機でプルサーマル発電が実施されていた。国や電力会社は「ヨーロッパでは1960年代から始まり、(中略)豊富な実績があります。フランスでは、今ある原子炉の3分の1、ドイツでは2分の1くらいの原子炉でプルサーマルを行っています。これまで事故は発生しておらず、安全に利用されています」(電気事業連合会のHP)とする。
だが、MOX燃料は通常のウラン燃料に比べると、制御棒の利きが悪くなるなど、多くの危険性が指摘されてきた。元京大原子炉実験所助教の小出裕章さんは「ウラン燃料を使用するために設計された原子炉でプルサーマル発電を行うことは、石油ストーブで灯油にガソリンを混ぜて使用するようなもの。事故のリスクは格段に上がる」と危惧する。しかし、原子力規制委員会は高浜3
号機の安全審査にあたって、プルサーマル発電については全く考慮をしていない。
(以下ソース)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160301-00010000-asiap-soci