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DNA混入 捜査回り道
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■「幻の犯人」追いかけ
「DNA型が一致した? うそだろう」
2009年初夏、栃木県警の幹部は絶句し、部下の報告に耳を疑った。
遺体で見つかった女児の手の甲に付着していた「微物」のDNA型が、捜査員のそれと一致したとの報告だった。
捜査線上に不審な人物が浮かぶたびに、突き合わせてきた拠り所。
「捜査が振り出しに戻るということか……」。3年以上の徒労に、失望と怒りの声が静かに広がっていった。
栃木、茨城両県警の合同捜査本部は、「微物」は犯人 が女児の手を強く握った時に付着したとみていた。
遺体が茨城県常陸大宮市の山林で見つかったのは05年12月2日。栃木県警からは2人の捜査幹部が駆けつけた。
遺体は茨城県警大宮署に運ばれ、茨城県警が検視に臨んだ。
栃木の捜査幹部の1人がその時に手を握り、皮膚片が付いたのだった。
「なんで、素手で触ったんだ」。両県警の誰もが首をかしげた。
「そもそも、手を握るだけで、DNA型が残るのか」。
栃木県警は実験を試みた。「相当強い力で握れば残る」。
捜査員の子供の協力を得てそれが分かった。ミスを認めるほかなかった。
「幻の犯人を追いかけていた」
なぜ、手を握ったのか――。
当事者の元捜査幹部は、勝又被告を殺人容疑で逮捕した後の読売新聞の取材に、「お話しすることはありません」とだけ答えた。
別の幹部たちは代弁する。
「刑事はかつて、遺体に触れ、臭いをかぎ、そうして犯人の痕跡を感じ取れと教えられてきた」「彼だって付けたくて付けたんじゃない」。
ただ、死因を調べる検視官も務めた経験もあるベテラン刑事。遺体の扱いには十分な知識と経験があったはずだった。
合同捜査本部が事件発生後に情報提供を呼びかけたポスターには一時、犯人像とともに、「男」の文字が躍った。
DNA型で男と判明したのが理由の一つだった。
〈冷酷で残忍な男です〉
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2014年06月30日