日本では非加熱で食べることがほとんどない天然のサケ類を、にぎりずしや半生のあぶりステーキで楽しむ習慣が米国各地のレストランで広がっている。刺し身など魚の生食文化は日本が本場だが、今やサケに関しては米国がリードしているようだ。
アラスカ州アンカレジ周辺のレストランでは、ベニサケやギンザケの切り身の表面を軽くあぶった「シアードサーモン」が人気を集めている。ナイフで切ると、断面は刺し身と変わらないみずみずしい赤身。
調理レシピなどを開発しているアラスカシーフードマーケティング協会(ASMI)のケイト・コンセンステインさんは「(シアードサーモンは)天然サケのうま味と食感を損なわないように、加熱し過ぎないように絶妙な火加減で調理している」と説明している。
すし店でも天然サケは欠かすことができないメニューの一つ。特にベニサケは、鮮やかな赤身が美しく「養殖サーモンのような臭みもない」(ASMI)ため、マグロ類の代わりとしてにぎりずしや巻物の芯に入れて提供している店が西海岸を中心に増えている。
天然サケと言えば寄生虫が心配になるが、アラスカを中心とする米国産は漁獲後すぐに急速冷凍されるため寄生虫は完全に死滅している。冷解凍の技術も改良が進み、今では生のサケに匹敵する食感が出せるようになったという。
質の高さから、刺し身用として日本への輸出が検討された時期もあったが、「北欧や南米の養殖物が幅を利かせているため、なかなか入る余地が無い」と東京・築地市場(中央区)の卸会社。
残念ながら、しばらくは海外旅行や出張の機会に味わうしか方法がなさそうだ。(2016/02/27-06:13)
ソース
http://www.jiji.com/jc/c?k=2016022700055