「萎縮はしないんですよ、毎晩の報道を観ていただければわかるように。それはですね、むしろ言論機関に対して失礼だ」と、
2月、安倍政権下での“メディアの萎縮”を否定した安倍首相。さらにはこうも述べた。
「外国から誤解される恐れがある。まるでそんな国だと思われるわけでありますから」(4日、衆院予算委での答弁)
「誤解」ではない。事実である。
安倍首相は昨年3月16日の国会でも、衆院選前報道をめぐる民放テレビ局への“クレーム”を追及され
「国民に放送されている場で圧力をかけることはあり得ない」と嘯いたが、これも大嘘だ。
そして、いまや世界も、日本が「そんな国」であることを看破しつつある。
最近、イギリスの複数新聞が、立て続けに“安倍政権の圧力により3人のテレビ司会者が番組を去ることになった”と報じたのだ。
まずは英大手一般紙「ガーディアン」。
2月17日付で、「政治的圧力のなか日本のTVアンカーたちが降板する」(Japanese TV anchors lose their jobs amid claims of political pressure)というタイトルの記事を公開、
ウェブ版で全世界に配信した。
その内容は、日本で〈タフに疑義を呈することで定評のある〉報道番組の司会者3人が、同時期に番組を降りることになったと伝えるもの。
ご存知のとおりその3人とは、テレビ朝日『報道ステーション』の古舘伊知郎氏、TBS『NEWS23』の岸井成格氏、そしてNHK『クローズアップ現代』の国谷裕子氏のことだ。
「ガーディアン」は3氏の名前と番組名を具体的に挙げて降板に至る経緯を説明しながら、先日の高市早苗総務相による「電波停止発言」を問題視。
そして、数々の例をあげて〈安倍が放送局の編集の独立権の議論を紛糾させるのは、これが初めてではない〉と強調する。
(略)
さらに、英経済紙「エコノミスト」も2月20日付で古舘氏、岸井氏、国谷氏の番組降板問題を大きく取り上げた。
タイトルは「日本におけるメディアの自由 アンカーたちがいなくなった」(Media freedom in Japan Anchors away)で、こちらは一層安倍政権に批判的なトーンである。
記事では、冒頭から“日本の標準から見れば力強く政権批判を行う司会者である3名がそれぞれ同時に番組を去るのは、偶然の一致ではない”と断言。
3氏降板の背景を深く掘り下げて報じている。
(略)
こうした構造的な日本のマスコミと政府の報道圧力をめぐる現状は、海外のジャーナリズムのフィルターから見ると、あらためて奇妙で異形なものに感じられる。
前述の「ガーディアン」「エコノミスト」だけでなく、他にも英紙では「インディペンデント」が20日付で、同じく古舘氏らの降板問題を批判的に取り上げているが、
おそらく英字で発信されたこれらのニュースは、アメリカやフランス、ドイツなど他の欧米メディアにも波及し、世界中に轟き渡るだろう。
http://lite-ra.com/2016/02/post-2004.html
【該当記事】
ガーディアン
http://www.theguardian.com/world/2016/feb/17/japanese-tv-anchors-lose-their-jobs-amid-claims-of-political-pressure
エコノミスト
http://www.economist.com/news/asia/21693269-criticism-government-being-airbrushed-out-news-shows-anchors-away
インディペンデント
http://www.independent.co.uk/news/world/asia/japanese-news-anchors-sacked-as-press-freedom-tightens-a6886266.html