民主党の福島伸享(ふくしま・のぶゆき)衆院議員が2月19日の予算委員会で「同人誌は価値が低い」と発言したという話題が、ネット上を駆け巡っている。しかし国会中継を見ると実際には全く逆の文脈での発言で、むしろ同人作家の権利を守ろうという趣旨のものだった。
福島氏は環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の著作権侵害について定めた条項について、岩城光英(いわき・みつひで)法相に質問。その中で、日本では著作権侵害があった場合に実害の分だけを賠償するということで、最高裁判例が出ていると指摘した。
それに対して、TPP協定では「将来の侵害を抑止することを目的として定める」とされていて、判例とは食い違っているとした上で、以下のように聞いた。
> たとえばコミケとか同人誌というのがあります。これは無名の人ですから、価値がありません。
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> 仮にこの著作権が侵害されたとして訴えたとしても、現時点の価値は低いから現在では安い額の損害賠償しか出ないんです。
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> そんな安い損害賠償なら、手当たり次第、コミケ・同人誌を集めて、その中で売れた物でバンと出たときに大もうけするというビジネスができるんです。現にそういうものが起きているんです。
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> だからこそ懲罰的なものをやって、今の価値は低くても、著作権侵害が起こさないような額のものを設定しようというのが趣旨だと思うんですけど、この点についてどう認識されますか?
つまり福島氏の質問は「同人誌の作家が海賊版を著作権侵害で訴えても低い額しか賠償をもらえない現状に対して、海賊版が増えることを予防するため、TPP協定に沿う形で高い額の賠償金を設定できるようにすべきではないか」という趣旨だった。
なお、岩城法相は既存の運用で「結果的に抑止的な効果が生じることがある」として従来の運用で矛盾しないという立場を繰り返した上で、TPPは「損害額を高額にすることを目的とするものではない」と回答した。
ソース
福島伸享議員の「同人誌は価値が低い」発言。実際には同人作家を守る趣旨だった【全文】
http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/19/fukushima-nobuyuki_n_9271256.html