５年前に起きた焼き肉チェーン店の集団食中毒で、富山県などの警察の合同捜査本部は、チェーンを経営していた会社の元社長と肉の仕入れ先だった卸売会社の元役員の合わせて２人を業務上過失致死傷の疑いで書類送検しました。捜査関係者によりますと、２人の刑事責任を問うのは難しいとみられるということです。
書類送検されたのは当時、金沢市に本社があり焼き肉チェーンを経営していた「フーズ・フォーラス」の４７歳の元社長と、肉の仕入れ先だった東京の卸売会社「大和屋商店」で衛生管理を担当していた４１歳の元役員の合わせて２人です。
５年前の平成２３年４月、北陸の３つの県と神奈川県にあった焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」で生肉のユッケを食べたおよそ１８０人が症状を訴える病原性大腸菌が原因の集団食中毒が相次ぎ、このうち、富山県で４人、福井県で１人の合わせて５人が死亡しました。
「フーズ・フォーラス」の元社長は、食中毒の原因となる菌を取り除くなどの措置を従業員に十分指示していなかったとして、また「大和屋商店」の元役員は菌がつかないような対策を取っていなかったとして、それぞれ、業務上過失致死傷の疑いがもたれているということです。
これまでの任意の調べに対し、元社長は「肉に菌がついていると想定していなかった」と話し、元役員は「ユッケを提供するのは店側の判断だ」と話しているということです。
また、捜査関係者によりますと、流通のどの時点で菌が肉に付いたかを特定することができず、２人の過失について刑事責任を問うのは難しいとみられるということです。
この集団食中毒を巡っては、富山県などの被害者や遺族が２つの会社に対して賠償を求める裁判を起こしています。
焼き肉チェーン集団食中毒 元社長ら書類送検
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160215/k10010409991000.html