交通事故 錯覚が招く「衝突」 見通しはいいのに…
毎日新聞 2016年2月14日 15時45分 (最終更新 2月14日 15時46分)
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2月上旬、写真右から来た乗用車と奥から向かってきた軽乗用車が出合い頭に衝突した市道交差点 =栃木県真岡市西田井で
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事故が多発した交差点に 一時停止の標識を複数設置し、道路に黄色の段差を付けて減速を促している=栃木県芳賀町芳志戸で
周りに田畑が広がる見通しのよい交差点にもかかわらず、車同士による出合い頭の衝突事故が起きることがある。
地理的な特徴から「田園型事故」とも呼ばれるが、運転手は多くの場合「車に気付かなかった」 と話すという。
なぜ、視界を遮るものもない場所で、近付いてくる車に気付かないの か。現場を走った。【野田樹】
■直前まで気付かず
栃木県真岡市西田井の市道交差点で2月 4日午前8時20分ごろ、女性会社員(44)運転の軽乗用車とワゴン車が出合い頭に衝突した。
女性は頭を強く打って重体になり、今も意識が戻らない。
真岡署によると、現場は片側1車線の道路と細い農道が直角に交わる信号機のない交差点。
軽乗用車側に一時停止の標識があったが双方にブレーキ痕はなかった。
ワゴン車を運転していた女性(40)も「直前まで車に気付かなかった」と話しており、典型的な田園型事故とみられる。
こうした事故は県内でもしばしば発生している。
2012年8月には、小山市下初田の田んぼに囲まれた市道交差点で、特別養護老人ホームの送迎車と乗用車が衝突し、3人が死亡した。
県警交通企画課によると、昨年は田園型の死亡事故が6件発生している。
■畑にとけ込む道
真岡市の事故現場を走った。
前後左右に農地が広がり、同じ風景が続くなか、碁盤の目のように細い道が交差する。
手前の民家から奥の山々まで見通せ、 車が走っていればかなり遠くからでも見えるはずなのに、と思った。
ただ、交通量は少なく、自然とスピードは上がりがちになる。
遠くの風景まで見渡せるぶん、畑の中から延びて交わる細い道はうっかりすると見落としそうになる。
■「十勝型」「芳賀型」
視界の開けた平たんな地形の、信号機のない交差点で、互いの接近に気付かず、2台の車が衝突する。
これが「田園型事故」 の特徴だ。
直前まで減速せずに衝突するため大事故につながりやすい。
1980年代から北海道の十勝平野など で報告され「十勝型事故」とも呼ばれる。
県内では田畑の中の交差点が多い芳賀町で多発したことから「芳賀型事故」と呼ばれたこともある。
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