その1 http://japan.cnet.com/sp/t_hayashi/35077597/
やっぱり、出版はもうダメなのだろうか?」
こんな疑問が出るのも無理はないのです。実は筆者も、ちょっと暗い気分になってしまいました。
ところが、よくよく数字を見てみると、そこには前向きの要素もあったんですね。
1つは、「電子出版の成長はやはり本物だった」ということ。もう1つは、「雑誌は不況だが、書籍はむしろ拡大基調」ということ。
その2 http://japan.cnet.com/sp/t_hayashi/35077597/2/
実は、その「コミックス」。これをどう見るかで、「出版不況」と呼ばれる現象に対する見方が、180度とはいかないまでも、90度くらい変わってしまうんですよね。
以前にもこのコラムで少し書かせていただいたことがあるのですが、毎年、二千数百億円の売り上げがある「コミックス」のうち、9割は「雑誌」の売り上げに計上されているのです。
その3 http://japan.cnet.com/sp/t_hayashi/35077597/3/
今後はどうなる?:2019年、書籍は2005年の水準を回復へ
「これまで」はわかったとして、「これから」はどうなるのでしょうか?
最初に雑誌ですが、残念ながらこちらは電子を加えても、趨勢は変わりません。
http://japan.cnet.com/storage/2016/02/09/6b4c385fff48345badfe868d7fc84222/1602_ebooks_04.jpg
総合雑誌市場(紙+電子)実績+予想
出版科学研究所の雑誌(雑誌扱いコミックス除く)の売り上げが、過去10年と同じ比率で減っていったと仮定した場合の2019年までの予測値を出し、それに、インプレス総研の電子雑誌売上予測を足したものです。
一見してわかるように、コミックスを欠いた「雑誌」では、たとえ電子雑誌を足し合わせたとしても、退勢は隠しようもない……というのが正直な印象です。
一方、「書籍」はどうでしょうか?
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紙書籍+雑誌扱いコミックス+電子書籍の販売金額推移(出版科学研究所/インプレス総研)
こちらでも、雑誌と同様に、2015年以降の「紙書籍」と「雑誌扱いコミックス」の売り上げは、過去10年の推移をもとにした推計です。
2015年までの集計で確認したのと同じことが、2019年までの予想でも言えそうです。
つまり書籍(紙の本+雑誌扱いコミックス+電子書籍)については、今後も「右肩上がり」に伸びていくと予想できることがわかります。
この推定では、2019年の総合書籍の市場規模は、1兆1551億円。これは、1994年以降の書籍統計の中で歴代12位の数字。前項でも挙げた過去最高値(1996年の1兆3090億円)と比べると、▲12%ではありますが、2001~2005年あたりとほぼ同水準です。
こうして見ると、1994年以降、そして書籍(雑誌扱いコミックス、電子書籍を含む)に関する限り、これまでこのコラムで何度か主張してきたように「出版不況は終わった」といえるのではないでしょうか。
※詳しい記事内容は各ソースURLにて