うがい薬の代名詞である「イソジン」ブランドを、明治ホールディングス傘下のMeiji Seikaファルマが2016年3月に手放すことになった。
50年以上育ててきた主力ブランドに別れを告げる。
イソジン商標を持つ米国の製薬会社ムンディファーマが、明治とのライセンス契約の解消を求めたためだ。
「イソジンブランドを手放すのは本意ではなかった」と、 明治でイソジンのマーケティングを担当する秋田康一郎・ 機能性栄養食品グループ長は、打ち明ける。
明治はムンディとの提携で、イソジン製品の国内における開発・製造から販売・普及までを担ってきた。
1961年に 医療用医薬品の外用消毒剤を発売し、1983年には一般用医薬品としてうがい薬を発売。
1985年からはカバのキャラクター「カバくん」を登場させ、テレビCMや小学校・幼稚園でのうがい教室などを通じて“うがい文化”の定着を図ってきた。
一般用医薬品のうがい薬の国内市場規模は2014年度で81億円で、明治のシェアは約5割。
2016年3月期のイソジン製品(一般用医薬品)の売り上げは35億円を見込み、明治の一般用医薬品部門の主力製品の一つだ。
数年前に契約更新のタイミングを迎え、内容について明治側とムンディ側は交渉を続けていた。
明治側は長期的な提携関係の維持を望んでいたが、2015 年3月に、ムンディファーマからイソジンブランドのライ センス契約解消の通知が届く。
8月には明治がそれを了承する形で、契約解消に伴う合意書をムンディと締結した。
ムンディが一見唐突に契約解消を求めてきたのには、理由がある。
同社は慢性腰痛やがんに伴う痛みの治療薬などを欧米中心に販売してきたが昨年から日本を重点地域に定め、積極投資を開始している。
その一環で、日本市場に浸透したイソジンブランドの自社展開を決断した。
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