川崎中1殺害 凄惨リンチ明らかに…傷43カ所31カ所が首に集中
川崎市川崎区の多摩川河川敷で昨年2月、中学1年上村遼太君=当時(13)=が殺害された事件の裁判員裁判初公判が2日、横浜地裁で開かれた。
殺人と傷害の罪に問われたリーダー格の少年(19)は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側から上村君が死亡するまでの状況が示されると、法廷には家族の嗚咽(おえつ)が響き渡った。
「動かなくなり、死んじゃったなと思った」。弁護人からの質問で、凄惨(せいさん)なリンチの様子を少年は淡々と話した。
現場となった河川敷で上村君に馬乗りになった後、別の少年から渡されたカッターナイフで膝、腕を切り付けた後、「首をやったら死ぬかなと思った」と首を狙った。
全裸で川に泳がせ陸に上がってきた上村君を少年2人にも切り付けさせた。
上村君は3回目に川へ向かおうとした途中で、倒れ込んだ。
別の少年に3度蹴られて川に下半身が漬かった状態の上村君を残して、3人は帰っていったという。
少年は「その場の雰囲気に流されて途中でやめることができなかった」と述べた。
上村君の遺体の傷は43カ所に及び、31カ所は首に集中。
検察側が遺体の足の傷を「川からはいつくばって出てきた時の可能性がある」とすると、被害者参加制度を利用し、検察官の後ろに座っていた両親はタオルで顔を覆って嗚咽を漏らした。
検察側は動機を「頬を数回切り付けた後、中途半端なまま帰すと逮捕されたり、報復されると思い殺害することにした」と指摘。
弁護側は、別の少年からカッターを渡されたが「強い殺意はなく、誰か止めてくれないかという気持ちがあった。どうしていいか分からなくなり、瞬間的に暴走し殺害した」とした。
殺害時の心情や動機を問われると「腹が立ってやったと思う」と人ごとのように答え「(傷害致死罪に問われたほかの少年2人がいたことで)気持ちが大きくなり、
その場の雰囲気でやった」と話した。
少年は終始、消え入るような小声だったため、近藤宏子裁判長から「大きな声で」と注意される場面が5回もあった。
法廷には高さ約170センチの白いついたてが置かれ、少年の入廷する様子が見えないように配慮された。
開廷直後についたてが外されると、濃いグレーのスーツ姿に丸刈りの少年が傍聴席に背を向けていた。表情をうかがうことはできなかった。
公判は3日間続き、4日に結審する見通し。上村君の母親の意見陳述も予定されている。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2016/02/03/kiji/K20160203011971790.html