多機能トイレでAV撮影か 身障者団体がメーカーに「強く自粛を要望します」
http://www.sankei.com/premium/news/160103/prm1601030021-n1.html
■モラルを問う
車いすのまま入れるスペースや、乳幼児のおむつ交換シートなどを備えた「多機能トイレ」。
バリアフリーな社会を目指して設置が進んでいるが、“目的外使用”の可能性が指摘されている。
多機能トイレを利用したアダルトビデオ(A V)の存在から、カップルが室内で性行為を行っている
疑いも否定しきれず、身体障害者団体がAVメーカー側に製作自粛を求める事態に発展している。
モラルの在り方が問われそうだ。
■トイレから出てきたのはカップルだった
中部地方に住む女性(50)の夫は(46)10年前、交通事故のため脳損傷を負った。
高次脳機能障害と診断され、外出時は車いすを使う。
排泄(はいせつ)や排尿の感覚にまひがあり、短時間に何度もトイレに行ってしまう。
しかし、身障者用のトイレがふさがっていることが珍しくない。
女性が特に疑問に思うのは、出てきたのが1人でないケースだ。
「中からカップルが出てきたのを最初に見たときは、目が点になった。複数で入った人が、
トイレ本来の目的のために使っているとは思えない。ふさがっているときに扉をたたいたら
シーンとしてしまい、物音が一切しなくなったこともある。本当に困るからやめてほしい」
複数で出てくるのはカップルに限らない。
高校生らしい女の子ばかり3人とか、男性2人と女性1人だったこともある。
■「障害のない人が入っていても注意しづらい」
女性が駅員さんに「トイレに入れなくて困る」と相談したら、返ってきたのは次のような困惑の
言葉だった。
「障害者用トイレが多機能トイレと呼ばれるようになって、 誰でも利用できるようになった。
障害のない人が入っていても注意しづらい」
困るのは実は、時間のかかる複数での利用だけではない。
健常者が「空いているから」と思って入った「ほんの数分」が、 障害者には「待てない時間」だ
ということはある。
女性は「私自身、夫が障害を持つまで、『障害があると大変だ』と思ってはいても、何がどう
大変かは分かっていなかった」とする。
そのうえで、「待つことができない障害者はいる。能力が限られている中でも、本人はオムツは
嫌だと思っている。広くてきれいで快適な多機能トイレを使いたい気持ちは分かるけれど、普通
のトイレが使える人はぜひ、多機能トイレを、それしか使えない人のために空けておいてほしい」
と訴えている。
■車いす利用者の9割「待たされたことある」
問題の根底には、通常のトイレに比べて多機能トイレの数が少なく、需要に追いついていない
という事情がある。
国土交通省が平成24年に行った多機能トイレの使用実態を調査(車いす使用者105人対象)
によると、トイレを使用しようとして「待たされたことがよくある」と回答した人は52%に上り
半数を超えた。「たまにある」(41%)を加える と、9割以上が、トイレを使いたいときに
利用できなかった経験を持っていることになる。
多機能トイレの数が「十分足りている」「十分とはいえないが足りている」との回答したのは
計18・1%。
それに対して、「やや不足感がある」「とても不足している」は計75・ 2%に上った。
以下略