日本の金融システムに対する信用が、どの時点で失われ、預金封鎖やハイパーインフレ、ついには財政破綻が起こるのか。私には、日本の財政赤字が膨らんでいく様子は、まるで「肝試し」に見えます。はっきり言って、破綻のきっかけは誰にも分かりません。 ただ、ある程度目安となる指標がいくつかあります。4つのチェックポイントをみていきましょう。
チェックポイント① 経常収支の赤字が続く
一つめは経常収支です。これは、海外とのモノやサービスなどの取引によって生じた収支のこと。主に「貿易収支(輸出額と輸入額の差額)」と「第一所得収支(旧・所得収支。金利や配当金などのやり取り)」で占められま す。他に、サービス収支やODA(政府開発援助)などがありますが、主なものは先に挙げた2つです。
日本は財政赤字が1000兆円以上、GDP比で200%を超える膨大な借金国です。それにもかかわらず破綻しないのは、「日本は海外から稼げる国だから、借金を返せるだろう」という信用があるからです。つまり、経常黒字を稼いでいるということです。
チェックポイント② 家計貯蓄率のマイナスが続く
大借金国である日本が破綻しない理由は二つあり、一つは先にも述べたように、経常黒字を稼いでいること。もう一つは日本国債の9割ほどが国内で消化されているということです。後者についてより正確に言うと、日本国債は「国内の金融機関」が購入していま す。つまり、国民の預貯金で国債を買っているということです。ところが、2013年度に日本の家計貯蓄率(家計の可処分所得からどれだけ貯蓄に回したかを示す指標)が初めてマイナスに転じました。
チェックポイント③ 財政赤字が膨らみ続ける
三つめは、名目GDP比での財政赤字残高です。繰り返しになりますが、今、日本は名目GDP比で200兆円を超える財政赤字を抱えています。それがどこまで膨らんだときに財政破綻を迎えるかは分かりませんが、このままでは財政 赤字は増えていく一方です。
そこで今、政府は「2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)をバランスさせる」という目標を掲げています。基礎的財政収支とは、政府の一般会計予算のうち、国債費に関係する収支を除いた収支のことで す。
具体的にどういうものでしょうか。国債費の内訳は、出ていくお金が「国債の利払い」と「国債の償還」です。一 方、入ってくるお金は「国債を発行することによる収入」です。この双方を除いた予算、つまり、税収などによる収入と、国債費以外の一般的な支出が 均衡するかどうかを見るのが、プライマリーバランスです。
チェックポイント④ 日本国債の格付けが下がる
最後のポイントは、日本国債の格付けです。2014年12月、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが 日本国債の格付けを「Aa3」から「A1」に1段階格下げしました。これは上から5番目の格付けで、G7先進国の中では「Baa2」をつけているイタリアに次いで低いものです。
国債の格付けは何を示すかというと、「政府が借金を返済できるか」という信用力です。日本国債の格付けが下がったのは、同年10月に行われる予定だった消費税率10%への増税が延期されたことで、「財政赤字の削減目標が達成できないのではないか」との見方が強まったからでした。さらには、ここまで述べてきた三つの要因などを加味して決定していると考えられます。
ソース
http://toyokeizai.net/articles/-/98402?display=b