わがまま勝手な参拝で神社悲鳴…ご神木に抱きつき、川に投銭 マナー守って初詣を
「神域の木に抱きつくと御利益がある」「ひんやりした感触がパワーを感じる」。
神話やパワースポットブームで、全国の神社のご神木などに抱きついたりする参拝者が増えている。
インターネットなどで“勝手な”参拝方法が広まり、ヒールで根が踏まれるケースも。
木の生育への影響が懸念され、神社も頭を悩ませる。
もうすぐ新年。マナーと思いやりをもっての初詣を-。(佐々木詩)
まことしやかに流れる噂
今年の三が日に約42万人が参拝した三重県伊勢市の伊勢神宮。
平成25年に行われた20年に1度の式年遷宮を機に「パ ワーがアップした」と、ネットなどで特に話題となった。
「○○前の巨木」などと、木を特定する話もまことしやかに広がり、樹皮が薄くなる杉も見られるようになった。
神宮司庁広報課は「木に触ると落ち着くという方もいらっ しゃるので禁止はしませんが、『御利益がある』というのは神 宮にもともとあるお話ではないので」と困惑する。
■ネットで広がったストーリーで、参拝者が数十倍に
静岡県掛川市の事任(ことのまま)八幡宮は、「願うことのままかなう」とネット上で広まり、かつて数十人程度だった1 日の参拝者が、多い日で千人近くに急増。
願い事をかなえようと、鳥居脇の樹齢500~600年のクスノキに触るようになり、ヒールで根を踏む参拝者もみられたため、木の周りに柵を設置した。
木に触れるという何気ない行為。
しかし、「最悪、倒木の可能性もある」と指摘するのは大阪府河南町の樹木医、古川元一さん(63)。
「多くの人が木に近づくことで土が踏み固められ、十分に水や養分が吸収されなくなってしまう」とし、
「枝の先に立って、葉が発した新しい空気を吸い込むだけで、木のエネルギーに触れることができる」とアドバイスする。
参拝での迷惑行為といえば、「投銭」も。
伊勢神宮では初詣 になると、五十鈴川への賽銭(さいせん)の投げ入れが相次ぎ、川底が見えなくなるところもでるほど。
もともと身を清める神聖な川で、投銭をやめるよう呼びかける立て札を設置した が、効果は薄いようだ。
同神宮はビニール製の網を川底に敷き、一度に回収できるよう対策をとった。
■日本人らしい思いやりもって
伊勢神宮の案内ガイド養成などを行う「世界のきずな文化交流協会」(三重県志摩市)の塩本智幸副理事長(57)は
「日本人らしい思いやりの心を持って、穏やかにお参りしてほしい」と話す。
http://www.sankei.com/images/news/151229/wst1512290058-p2.jpg
根を踏まれないよう囲いが設置されたクスノキ。
敷石を渡って1カ所だけ木に近づけるようになっている=静岡県掛川市の事任八幡宮(同八幡宮提供)
http://www.sankei.com/west/news/151229/wst1512290058-n1.html