【台北・鈴木玲子】慰安婦問題で日韓が合意したことを受け、台湾外交部（外務省）は２８日、台湾の駐日機関である「台北駐日経済文化代表処」に対し、台湾の元慰安婦にも同様の対応を取るよう日本側に求めることを命じたと明らかにした。
馬英九総統は今年５月、就任７年記念式典に元慰安婦の女性を招くなど慰安婦問題に強い関心を持っており、２０２３年完成予定の軍事博物館に慰安婦の展示エリアを設ける方針を示している。８月には安倍晋三首相の戦後７０年談話に「日本が反省しようとしていると信じているが、さらに取り組むべきだ。とりわけ慰安婦についてだ」と注文を付けた。談話で「多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた」と言及したものの、「慰安婦」と明言しなかった点に不満を示していた。
一方、台湾で元慰安婦を支援する女性人権団体「婦女救援社会福利事業基金会」の康淑華執行長は２８日、毎日新聞の取材に対し「２０年来、日本に謝罪と賠償を求めてきた運動の中で大きな進展だ。日本政府が直接出資することは評価に値する」と前向きに評価した。
康氏はまた、「日本が心からこの問題を解決したいなら、インドネシアや中国、台湾などについても謝罪と賠償を考えるべきだ。政治的な協議ではなく、日本政府の誠実な謝罪が必要だ」とも指摘した。同団体によると、台湾の元慰安婦は少なくとも５８人で、生存者は現在４人。同団体は来夏、台北市内に台湾初の慰安婦記念館の設置を計画している。
http://mainichi.jp/articles/20151229/k00/00m/030/179000c