「ゲイも献血OK」ただし条件が… 米30年ぶり解禁で賛否両論
http://www.sankei.com/premium/news/151227/prm1512270017-n1.html
米食品医薬品局(FDA)は21日、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染拡大防止を理由に禁止していた、
男性同性愛者の献血を約30年ぶりに解禁することを明らかにした。
科学技術の進歩で、ゲイの献血禁止が感染防止に必ずしも必要ではないことが分かったからだ。
しかし、同性との性交渉から12カ月経過した場合に献血を認めるとの条件を付けたため、LGBT(性的少数者)の
権利擁護団体からは評価する声と、厳しい条件設定を批判する声が交錯している。(SANKEI EXPRESS )
■HIV感染可能性低く
ロイター通信や米紙ワシントン・ポスト(電子版)などによると、1983年ごろから、AIDS(後天性免疫不 全
症候群=エイズ)の発症例が増え始めた。
発症の主因がHIV感染によるものとされ、多くの医療専門家が輸血による感染を指摘したため、この年にゲイの献血を
全面的に禁止した。
当時、ほとんど解明されていなかったAIDSなども、 科学技術や医療の発達で、謎とされた部分が徐々に解明され、
献血でHIV感染する可能性がかなり低いことも分かったという。
ゲイの献血解禁は昨年後半に提案され、議論が続けられてきた。
だが、81年に世界で初めてAIDS感染例が見つかった米国では、AIDSに対する恐怖感や偏見は他国より根強く、
HIVと結び付けられることの多いゲイへの風当たりも強い。
FDAに寄せられた700件のパブリックコメントの半数以上は献血禁止の継続を求める声だった。
■量不足への「危機感」
反対の声が多い中、ゲイの献血解禁に踏み切ったのは、科学的な“根拠”もさることながら、米国内の献血事情もある
といわれている。
米赤十字の試算では、全米で1年間に集まる献血量は1 570万人分。
一方、緊急手術など医療行為で使われる血液は1日4万1000人(年間約1500万人)分で、毎日2秒に1人分の
血液が活用されている。
医療関係者によると、70万人分の余裕はあるが、十分な量とはいえない“危機感”があるという。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のウィリアムズ研究所の試算によると、今回の献血解禁により、
新たに200万人が献血できるようになり、献血量が2~ 4%増えて、医療行為にも寄与するとみられている。