ネット嫌い王者 軍門に下る ビートルズの楽曲 ストリーミング配信開始
ビートルズの名曲の数々が24日のクリスマスイブから、インターネット配信のストリーミングサービスで
聴けるようになった。無料や定額制で楽曲が聴き放題となるサービスで世界中で利用者が急増しているが、
ビートルズの曲は配信されていなかった。
ファンにとってはうれしいクリスマスプレゼントだが、音楽業界ではCDやダウンロードによる楽曲の販売が
激減するなか、「ついに王者ビートルズもネット配信の軍門に下った」との声が上がっている。
■ファンはうれしいが…
「僕たちより皆さんへ愛をこめて(ウィズ・ラブ・フロム・アス・トゥー・ ユー)」
ビートルズの公式サイトは23日、こんなメッセージを掲載。
代表曲にひっかけて、英国の24日午前0時01分から、「世界のどこでも(ヒア・ゼア・アン ド・エブリ
ホエア=1966年=)ストリーミングで聴くことができます」と発表した。
ストリーミングはネット上で聴きたいときに逐次再生する新しい方式。
ビートルズの曲を配信するのは、「スポティファイ」「アップルミュージック」「グーグルプレイ」「アマゾン
プライム」など9つのサービス。
名盤の「ラバー・ソウル」(65年)や「アビイ・ロード」(69年)といったオリジナルアルバムなど
計17枚に収録された曲が聴ける。
■「取り残される」危機感
ビートルズの曲は68年に自ら設立したアップル・コアと音楽会社のEMIが管理しているが、これまでは
ネット嫌いで知られ一線を画してきた。
2003年に米アップルがダウンロード方式の「アイチューンズ・ストア」を開始した際には、従来のCD
販売を重視し提供を拒否。
10年にようやく提供を始めた。その 後台頭したストリーミングにも抵抗してきた。
ところが、ビートルズといえどもCDが売れないのはもちろん、米調査会社ニールセンによると、
ダウンロード販売も昨年の約120万枚から今年は約90万枚まで25%も激減。
同じようにストリーミングをかたくなに拒否していた往年の名バンド、レッド・ツェッペリンなどが提供に
踏み切るなか、「取り残されるとの危機感」(業界筋)から決断に至ったというのが真相のようだ。
ただ、新作アルバム「25」が記録的なヒットとなっている英女性歌手、アデル(27)は配信を拒否している。
米音楽誌ビルボードの上級エディター、アレックス・ゲイル氏は米メディアに 「王者の楽曲を獲得し、
ストリーミングも業界の王者の地位を獲得するだろう」 と指摘した。
http://www.sankeibiz.jp/express/news/151225/exf15122500020001-n1.htm