ハチの研究に長年取り組む福井県鯖江市の室田忠男さん(74)が2013年から同県あわら市などで採集したハチが、ドロバチ科フタオビドロバチ属の新種だったことが分かった。国内で同属の新種が見つかるのは1981年以来34年ぶり。和名は「オデコフタオビドロバチ」と名付けた。
室田さんは日本蜂類同好会会員。13年に同会の絶滅危惧種調査で訪ねた、あわら市浜坂の北潟湖沿いの住宅近くで捕まえた。体長20ミリほどで、ほっそりした黒い胴体や腹部の黄色の模様は既存種のハグロフタオビドロバチなどに似ていたが、「交尾器などの形が合致せず、新種かもしれないと胸が高鳴った」(室田さん)。同会員の協力を得てその後も同県嶺北地方中心に各地の山あいや平地で調査。嶺南で発見した数匹も含め、14年秋までにヤブガラシやノブドウなどの蜜を吸って生息していた同種とみられる200匹近くを採集した。
昨年4月、ハチとアリの分類学を専門とする鹿児島大名誉教授の山根正気さん(67)=鹿児島市=に標本を送り鑑定を依頼。▽頭頂の複眼に沿って盛り上がりがある▽頭部の模様が明るい黄色-などの特徴から、山根さんが同9月に新種と確認。学名を「アンテリンチウム・ギッリフロンス」と命名した。「アンテリンチウム」はラテン語でフタオビドロバチ属を表し、「ギッリフロンス」は「頭が盛り上がっている」という意味。山根さんは「人目につきやすい大きさ、生息場所なので、これまで見つからなかったのが不思議」と話していた。
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http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/86117.html