欧米には存在しない株主優待制度の「功罪」 ~マクドナルドの場合 #1

1番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2015/12/14(月) 07:47:49.14 ID:m8WY1UHW

欧米には存在しない株主優待制度の「功罪」
2015年12月14日
窪田真之 / 楽天証券チーフ・ストラテジスト

株主優待目当ての投資は問題か(1)

 マクドナルドの苦戦が続いています。業績は過去4年間で大きく悪化しています。期限切れ鶏肉使用や異物混入といった不祥事が続き、日本マクドナルドホールディングス(HD)は2014年12月期に218億円の最終(当期)赤字を計上し、15年12月期には380億円に赤字が膨らむ見込みです。
なぜマックは赤字でも株価が上がっているのか!?

 ところが、株価を見ると、不思議なことに堅調です。特に、大きな赤字を計上する今年になって株価が上昇しているのは「なぞ」と言われています。

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 マクドナルドにはとても魅力的な株主優待制度があります。そのため、個人投資家の保有が多いことで知られています。不祥事や業績悪化で株価が下がる時、個人投資家から優待狙いの買いが入るので、株価が大きく下がらないで済んでいるという見方もあります。

 日本マクドナルドホールディングスは、毎年6月末と12月末の年2回、株主名簿に氏名が記載されている株主に対して、優待食事券を配布しています。保有株100株以上で食事券1冊、300株以上で3冊、500株以上で5冊です。

優待食事券を目当てに個人投資家がマクドナルド株を購入

 優待食事券1冊に、バーガー類、サイドメニュー、ドリンクの無料引換券が6枚ずつ入っています。

 機関投資家は、不祥事が続いて業績が悪化していく会社の株を、株価が上昇しているのに買っていくことは、あまりありません。業績が悪化していても、株価があまり下がっていない日本マクドナルド株に、私は今はまったく投資魅力を感じません。

 マクドナルドのハンバーガーは昔から好きですが、今は他の好配当利回り株に投資して、受け取った配当金でマクドナルドに買い物にいった方がよいと考えます。なお、以上はあくまでも私の意見で、最終的な投資判断はご自身でお願いいたします。

欧米には存在しない「株主優待制度」

 日本には「株主優待制度」という、欧米には存在しない特殊な制度があります。上場企業が株主に感謝して贈り物をする制度です。

 本来、株主には配当金を支払うことで利益還元するのが筋です。ところが、日本の個人株主の一部に、お金(配当金)をもらう以上に贈り物(株主優待)を喜ぶ風潮があることから、株主優待という制度が存続しています。

 小売業や食品業では、個人株主がそのままお客さま(会社製品の購入者)になることもあるので、広報宣伝活動の一環として自社製品を優待品に積極活用する企業が多数あります。

財務を見ずに優待の魅力で投資すると、思わぬ落とし穴が

 優待投資には、すぐれた面と困った面があります。マクドナルドの株価は、優待投資の困った面を見せていると思います。

 困った側面を整理すると、以下の3点が挙げられます。

 1、優待の魅力に引かれて投資する人の一部に、財務内容や企業業績をまったく見ないで投資する傾向がある。

 2、優待の魅力に引かれて投資する人の一部に、株価をまったく見ない人もいる。気付かないうちに株価が大きく下落して損が膨らむこともある。

 3、株主優待制度が突然廃止されることがある。

 具体例がもう一つあります。それは、2010年に破綻した日本航空です。次回、「優待目当て

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