スウェーデンで1938~1991年に生まれた約550万人を対象にした大規模な調査で、身長が1メートルから
10センチ高くなるごとに、がんの発症率が男性で10%、女性で18%高まることがわかった。特に女性では
10センチ高くなるごとに乳がんリスクは20%上昇し、悪性黒色腫(メラノーマ)は男女とも30%増えた。
がんは、突然変異の細胞の異常増殖によって起こるから、細胞の数の多い人、つまり背の高い人ほど、
がんになる確率は高い。体重の多寡は脂肪の量などが影響し、細胞の数が身長ほどには比例しない。
背の高い人は、遺伝的要因とともに成長ホルモンの量が多いと考えられる。成長ホルモンの量が多いと、
細胞の増殖が活発化して新しい細胞が次々に生まれる。その分、突然変異の細胞が生まれる確率も
高まるわけだ。
成長ホルモンそのものが、がんの発症と関係あることがわかってきた。成長ホルモンは肝臓で「IGF-1」と
いうインスリン様成長因子を作る。普通、細胞はダメージを受けると、がん細胞になるのをさけるために
自ら死んでいく。これを「アポトーシス(自死)」という。ところが、IGF-1は傷ついた細胞をアポトーシスから
守る作用がある。このため、傷ついた細胞が生き残り、がん細胞となって増殖を始める確率が高まる。
http://www.j-cast.com/healthcare/2015/12/13252973.html