ミズーリ特攻の瞬間 豊の国宇佐市塾、カラー動画発見
太平洋戦争関連の史料収集などに取り組む「豊の国宇佐市塾」(宇佐市)は、米国の戦艦ミズーリに旧日本海軍の零式艦上戦闘機(ゼロ戦)が突入する様子が撮影された動画を発見した。
ミズーリは日本が降伏文書を調印した場所になったことで有名。
同戦艦への特攻の瞬間をとらえた写真やゼロ戦の破片などが残っているが、カラー動画が見つかったのは初めてという。
関係者は「歴史を伝える実物や詳細な記録も残っており、カラー動画は貴重な史料」としている。
艦尾にゼロ戦 船体から黒煙
動画は太平洋戦争末期の1945年4月11日午後、鹿児島県喜界島沖で米海軍が撮影したもので約55秒間。
ミズーリの右舷後方からゼロ戦が対空砲火を避けながら海面すれすれを超低空飛行して近づき、艦尾に体当たりする。
突入後は船体から大きな炎と黒煙が上がる様子が映し出されている。
同塾は、米国立公文書館から戦時中の米軍の記録動画を購入し、全国各地の空襲被害などの解明を進めている。今回の動画は昨夏に入手。
解析の結果、艦橋のすぐ後ろに煙突があることなどシルエットからミズーリと同型のアイオワ級戦艦と特定。
超低空飛行の戦闘機が海面と水平に戦艦へ突入する様子からミズーリの特攻と断定した。
映像を解析した同塾の織田祐輔さん(29)らによると、特攻機は海軍の鹿屋基地(鹿児島県)を飛び立った神雷部隊第五建武隊所属の1機。
ウィリアム・キャラハン艦長は、特攻隊員の勇敢な攻撃に心を打たれ、甲板に残されたパイロットの遺体を手厚く葬ることを提案。
星条旗に日の丸を描かせて遺体を包み、海軍式の水葬で弔ったという。
広島県の呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)の戸高一成館長は「動画は突入の瞬間がはっきりと分かる。
ミズーリへの特攻は日米の戦いの無残さを知ることができる象徴的なエピソードの一つ。ぶつかる直前まで生きていたパイロットのことを思うと胸がいっぱいになる」と話した。
動画
https://youtu.be/3CHzfh6vLjI
http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2015/12/08/131907294