霊きゅう車をネット競売 京都・与謝野町、「宮型」需要減り
ひつぎを乗せる車体後部に御輿(みこし)に似た装飾を施した「宮型」の霊きゅう車が、全国で姿を消しつつある。
背景には「死」を意識させるデザインを忌避するなど葬送に対する市民の意識の変化があるとみられる。
落ち着いた装いの「洋型」が主流になる中、町営火葬場への運行サービスで宮型を所有する京都府与謝野町も「今後の需要が見込めない」と判断、
売却のためインターネットオークションに出品している。町によると、霊きゅう車のネットオークションは全国的に珍しいという。
宮型は行列でひつぎを運ぶ「野辺の送り」が起源で、日本特有の葬送文化の象徴とされる。しかし、全国霊柩(きゅう)自動車協会(東京都)が会員に行った調査では、
2000年の2140台がピークで、昨年は770台と約3分の1まで減少。逆に、洋型は調査開始時の1996年の520台から1480台まで増加した。
京都運輸支局によると、府内での営業用(緑ナンバー)の宮型の登録は10月末現在で16台しかなく、洋型の208台と比べて圧倒的に少ない。
同協会の勝基宏部長は「明らかに死を意識させる宮型は次第に忌避され、火葬場や住宅街への出入りを禁止する地域もある」と打ち明ける。
葬儀費用を減らすため、バン型の車を使う施主も多くなったという。
与謝野町では、町が宮型の車1台を所有しており、06年には町の火葬件数の約6割にあたる194件の利用があった。
しかし、町内の業者の全てが洋型を所有したこともあり、昨年の利用は月1、2件にとどまった。このため、町は宮型を廃車にした。
「現状では町内で需要があると思えない」として町の業者への払い下げは見送った一方、ネットオークションに11月25日から12月2日まで出品しており、
「希望者になるべく高価で落札してもらえたら」(町住民環境課)と期待している。
協会の勝部長は「財政難から宮型を手放すことは理解できるが、葬送文化を伝承する宮型が地域から消えてしまうのは残念」と話している。
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