衛星フォボスの崩壊
最新の分析によれば、火星の衛星フォボスは崩壊しつつある。
NASAのゴダード宇宙飛行センターに所属するテリー・ハフォード氏らのチームは、11月11日の米国天文学会惑星科学部会の年次総会で、フォボスの表面に何本も走る長く浅い溝が火星の潮汐力でゆっくりと引き裂かれている最初の兆候だと発表した。フォボスの溝は天体の衝突によってできたと長らく考えられてきたが、火星の潮汐力によって引き裂かれる際の「ストレッチマーク」のようなものだという。
フォボスは火星の上空約6000kmの軌道を回っており、惑星との距離は太陽系の衛星のなかでもっとも近く、火星の重力によって100年に2メートルずつ「落下」しているという。科学者らは3000万年から5000万年の間にフォボスが引き裂かれるのではないかと予想する。
同様の説は、NASAの探査機バイキングがフォボスの画像を地球に送った何十年か前にも提案された。だが、当時はフォボスがもっと硬い天体と考えられており、これを引き裂くには潮汐力では弱すぎるとされた。しかし最近は、フォボスの内部は辛うじて形を保っている厚さ100メートルほどの堆積物の集まりかもしれないと考えられている。
フォボスと同じような表面を持ち、海王星に落下中の衛星トリトンも同じ運命にあるかもしれない。研究者らによれば、今回の研究は太陽系外の惑星にもあてはまるという。
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