http://news.infoseek.co.jp/article/tocana_40598/?p=1
年間12万8241頭の犬や猫が殺処分され、1日に約350頭の命が失われている日本(2013年度)。そんな現状を、ドキュメンタリードラマという手法を用いてわかりやすく伝えた映画『犬に名前をつける日』が、10月31日にシネスイッチ銀座ほか全国で公開される。監督は、自身も愛犬家である山田あかね氏。4年にわたる取材で記録された200時間を超える映像を編集した本作では、殺処分される犬だけではなく、悪質なブリーダーによって、狭に檻に閉じ込められガタガタになるまで繁殖させられた犬の様子や、福島の原発20キロ圏内に放置された痩せこけた犬など、ショッキングなシーンも多い。しかし、反対に動物たちを救おうとする懸命な人々の姿や、力強く生きようとする犬の姿には感動で涙が出るほどである。今回はそんな山田監督に、犬の殺処分の現状についてうかがった。
山田 4年前くらいにセンターを取材したときの話ですが...。当時は生まれたばかりの子犬たちはほぼ処分されていたんです。袋に入った子犬が処分される部屋に運ばれるのを見るのはとてもショックでした。でも、生まれたばかりの子犬で、しかも母親がいない場合、それを助けようと思ったら本当に昼夜を問わず、自分が見てあげなければなりません。そうじゃないと生きられないからです。だから、「じゃあ山田さん、あなた連れて帰ってくださいよ」って言われても、自分には何もできない。
それで、子犬が殺処分されてゆく現状などをSNSに書くと「助けてあげてください!」とか「この文章をシェアしてください!」というメッセージが来ます。でも、彼らも自分では助けないんです。そして「あの子犬はどうなりましたか?」と問い合わせしたりする。自分が引き受けるつもりで、問い合わせするならいいんですが、そうじゃないと、保護活動をしているひとや、センターで働くひとたちの迷惑になるだけなんです。
――ただ騒ぐだけでは意味がない、と。
山田 4年間の取材を通してわかったことは、動物関係の問題において誰かを「責める」ことにはほぼ意味がないということです。ブリーダーのひとたちだって、真の悪人ではありません。儲かると思ってやったけど、うまくいかなくなったから処分している、ちょっと悪い普通の人です。そんな彼らを攻撃することでへそを曲げられたら本末転倒です。責められないように、こっそり、山奥に捨てたりしますから。それよりもブリーダーが儲かるようなシステムがあること自体を問題にするべきなんです。
全国の犬・猫の殺処分数の推移
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/h25_dog-cat33.png