任天堂の新社長に、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)出身の君島達己氏が就任した。社長職は前社長の岩田聡氏が7月11日に死去して以来空席だった。ゲーム機などハード部門担当の竹田玄洋専務とゲームソフト担当の宮本茂専務が脇を支える“トロイカ体制”での船出だ。当面、岩田氏の戦略を継承していく方針だが、任天堂には今後1年ほどでスマホ参入や新型ゲーム機の発表など重大イベントが控えており、新経営陣の手腕が問われている。(藤原直樹)
■主導権争い防ぐ人選
9月14日、大阪市内で開かれた任天堂の新社長発表会見で、前社長の岩田氏が担っていた業務をすべて引き継ぐのか問われた君島氏はこう話し、自分に与えられた役割に専念する考えを強調した。
自身の役割については、「両専務に力を発揮していただき、新しい製品ができるよう支えていきたい」と述べた。つまり、経営をしっかり担い、両専務に存分に製品開発に取り組む環境をつくろうというのだ。
平成14(2002)年から社長を務めていた岩田氏は経営と開発の両方を担っていただけでなく、記者会見やインターネットによる新作ソフトの動画配信の司会をほぼ1人でこなすなど、「任天堂の顔」として活躍していた。
一方の君島氏は14年に任天堂入り。岩田氏と同様、創業家でカリスマ経営者だった故山内溥(ひろし)元社長に請われたのがきっかけだった。24年までの10年間は米国法人の責任者として販売拡大に貢献。その後は日本で経理部門のトップに就任し、広告宣伝費を抑制するなど収益改善で手腕を発揮し27年3月期の4年ぶりの営業黒字化に貢献した。
ただ、君島氏にはゲーム開発の経験はなく、これまでは裏方に徹していた。表舞台に登場する機会が多く、ゲームファンからの人気も高かった岩田氏の役割をすべて担うのは容易ではない。
そんな君島氏がなぜ社長職に抜擢されたのか-。
ゲーム業界に詳しいアナリストは「竹田専務か宮本専務のどちらかを新社長に選べば、ハード部門とソフト部門の主導権争いが起きる可能性があった。君島氏の新社長就任は、バランスを取るよい判断だったのではないか」と分析する。
もともと後任社長選びは社長業務を代行していた竹田専務と宮本専務の2氏を軸に進んでいた。竹田氏は世界で1億台以上を販売した据え置き型ゲーム機「Wii(ウィー)」などを開発。宮本氏はゲームの代名詞ともいえる人気キャラクター「マリオ」の生みの親として知られる。それぞれ任天堂のトップになるうえでの実績は申し分はない。ただ、両者は経営能力が未知数だったことに加え、いずれかが社長に就くことでハード部門とソフト部門に「上」と「下」ができ、パワーバランスが崩れることを懸念する声がでていたことに配慮した人選といえる。
■前門のソニー攻勢、後門のスマホ寡占化
トロイカ体制が動き出した任天堂だが、前途は多難だ。
以下ソースで
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1510/15/news060.html