今年4月、関西地方の歯科医院。3年ぶりに診察する小学3年の男児(9)の口内を見て、
医師は「やはりそうなってしまったか」と思った。10本の乳歯が、すべて根だけになっていた。
以前の治療中、母子家庭になったと聞いた。生活苦がうかがわれ、来院しなくなった。
「窓口で払うお金がなかった」と母親(36)は振り返る。男児の乳歯は抜くしかなかった。
今あるのは永久歯が10本ほど。うち2本はむし歯だ。
母親は4年前に離婚。長女(12)と長男の男児との3人暮らしが始まった。
幼稚園に通う長男は難病を抱え、付き添うため母は働けなかった。
生活を支えるのは、特別児童扶養手当などの各種手当で月約13万円。
長男の通院に車が必要だと思い、生活保護はあきらめた。子どもの将来に備えためていた約150万円を取り崩す日々だった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151014-00000013-asahi-soci