「牛食べた」と疑われた男性、約100人から暴行受け死亡 インド
2015/09/30 17:03
(ニューデリー/インド) 【9月30日 AFP】(一部更新)インドの警察当局は30日、ヒンズー教で食べることが禁じられている牛肉を食べたという流言を流されたイスラム教徒の男性(50)を集団で殴って殺害した容疑で、6人を逮捕したと明らかにした。
警官幹部がAFPに語ったところによると、死亡したのは、 ムハンマド・アクラクさん(50)。今月28日に首都ニューデリー郊外にある家から引きずり出され、約100人から暴行を受けた。
この警官幹部は「警官らが現場に到着した時、群衆がアクラクさんの家の前にいた。警官らはアクラクさんを何とか救 出し病院に搬送したが、命を助けることはできなかった」と述べ、「6人を逮捕し、さらなる影響を食い止めるために追加の人員を配置した」と明らかにした。
アクラクさんの息子(22)も襲撃で重傷を負い、近隣の病院で集中治療を受けている。
インドにはイスラム教徒やキリスト教徒、少数の仏教徒も暮らしているが人口の大半をヒンズー教徒が占めており、多くの州で牛を殺すことが禁止されている。
■力強めるヒンズー教強硬派
死亡した男性の一家が牛肉を食べたという流言のきっかけは、ニューデリーから35キロ離れたダドリ村で子牛が行方不明になったと伝えられたことだった。
同警察幹部は、「家族が牛肉を食べていると寺院で発表された後、群衆がアクラクさんの家に向かった」と語った。
インド紙インディアン・エクスプレスによると、アクラクさんの娘、サジダさんは自宅の冷蔵庫に羊肉はあるが牛肉は なかったと語ったという。
サジダさんは同紙に対し「彼らは牛肉を所持していると私たちを責め、家のドアを壊し、父と兄弟を殴り始めた。父は家の外に引きずり出され、れんがで殴られた」と語った。
インド西部のマハラシュトラ州では今年3月、牛の食肉処 理、さらには牛肉の所持さえ禁止する法律が施行された。
宗教的少数派はこれを、ヒンズー至上主義のナレンドラ・モディ首相が政権の座に着いて以降、ヒンズー教強硬派が力を強めていることを示す象徴的な出来事だとみている。(c)AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3061753?act=all