「総合的な人間力の差を感じました。特に関西の某名門私立のアメフト部出身の奴は凄かったです。
みんなを引き付ける魅力を持っていて。プロジェクトを引っ張るような人間は、ああいう男なんですね。
“勉強はもちろん、ほかの面でも自分を高めてきた奴ら”ばかりで、そりゃ勝てないよ、俺は勉強しかがんばったことないもん、と思いました。
周囲との差に負い目を感じて、3年で退社しました」
退社後、数か月の転職活動を経て中村さんが入社したのはまたも商社。とはいえ、一社目のような総合商社ではなく、文具などの消耗品を扱う商社だ。
「社員数は百数十人でしたけど、事業規模は前の会社と比べ物にならない小さな会社でした。
“何でうちに来たの?”って1000回くらい聞かれたかな。年収は3分の2以下になりましたけど、緊張感のない会社だったので毎日気楽でしたね。
二流、三流大出身者が大半で、以前のような劣等感も無ければ血の気が引くようなプレッシャーもなく、楽しかったですよ。
“東大出て何してんだ”って気持ちはありましたが、それでも今よりはマシでしたね。今では毎日高卒や中卒の人たちと働いてますから」
そう語る長谷川さんは現在日雇い派遣労働者だ。昨年、10年近く務めた二社目の商社が倒産した。
「業績が悪化していたので早くほかへ移っておけば良かったのですが、頭ではわかっていても面倒で。
なんか、努力するスタミナが残ってないんです。大学受験と就活で使い果たしちゃった気がして。今は日給1万円のバイトで年収は220万円ほど。
独身なので生活は十分に成り立ちます。それゆえに、ますます次の仕事を探す気力もわかないんです」
毎日ヘルメットを被り工事現場などで汗を流す長谷川さん。国内最高学府卒の面影はどこにもない。
9/29発売の週刊SPA!では、「低学歴ハッピーと高学歴プアの境界線」という特集を組んでいる。
「学歴とはいったい何なのか……?」――いま一度考えさせられるのであった。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150929-00947541-sspa-soci