「普通の老後」が難しい 年収700万円でも老後は「ギリギリ」〈AERA〉
築30年の2LDKの都営団地に病気の妻(77)と暮らす芝宮忠美(72)は、部屋に上げてくれるとこう話した。
「生活に、まったく余裕がありません」
同志社大学を卒業後、外資系ホテルに入社。アブダビ、イギリス、スウェーデン……。
会社員人生の大半を海外で働いてきた。会社員時代の年収は約700万円。当然、「普通の老後を送れる」と思っていた。
しかし落とし穴があった。海外勤務時に国内の年金に未加入だった期間があり、年金受給額は月7万円足らずだったのだ。
収入は妻の障害年金(約10万円)とあわせ月約17万円。東京都の2人世帯がもらう生活保護費とほとんど変わらない。
そこに、妻の介護費が重くのしかかる。週2回のデイケアで月3万円近くかかり、食事制限のある妻に特別な献立を作るため食費は月約6万円。収支は毎月ぎりぎりだ。
「家賃が4千円だから、何とかやっていける状況です」
なぜ、「豊か」と思われていた高齢者が厳しい状況に追い込まれているのか。
「昔はこうした親を、子どもや同居家族が支えたが、雇用が崩壊し3割以上が非正規になり核家族化が進んだ状況では、
親は子どもたちに頼ることができなくなっています」(藤田)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150923-00000003-sasahi-soci