谷崎さんは戦後、幡多地域の中学校で国語教師を務めた。宿毛市立東中学校などでは教頭。1982~1985年は旧中村市教育長だった。
「安保法案はやっぱり賛成しません。戦争ほど悲惨なものはないです。外地でいつ帰れるか分からん身の上になってみなさい」
50代のころ、一度だけ中村中学校で体験を語ったことがある。それ以降は、何十年も語らぬままだった。
なぜ、黙っていたのか。
「やはり、特殊な部隊でしょ。あまり話したくなかった」
今回は知人から「語っちょかないかん」と推された。毎日テレビで国会審議を見て、言っておかなければ、という気持ちも起きた。
「今の時代だからすぐに戦争に結び付くとは思わんけど、戦争はちょっとしたことで起こりうる。集団的自衛権を持ち出すこと自体が心配なんです。戦争だけは絶対、避けないけません」
教え子は千人を優に超えるという。
「教え子に銃を取らすな。この合言葉で教育をしてきましたから。この思いは変わりません」