http://www.cnn.co.jp/world/35070715.html
東京(CNN) 平和主義を掲げた憲法の解釈を第2次世界大戦後初めて変更する安全保障法案が、間もなく参議院を通過する見込みだ。国内では法案に対する怒りや反対が声高に叫ばれている。
法案の可決により、日本の軍事方針は戦後70年で最も劇的な変化を示すことになる。東京では過去数十年間で最大級の抗議デモが続いている。
憲法第9条は国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄すると定めている。今回の安保法案はこれまでの同条の解釈を変更する形となる。
この変更により、日本は集団的自衛権の行使が可能となり、「自衛隊」として知られる日本の軍隊が一定の条件のもと、海外で戦い、同盟国を守ることができるようになる。
米政府高官を含む法案の賛成者は、日本が中国や北朝鮮などの国々からの潜在的脅威に対抗するため、自衛隊の役割を拡大すべきだと主張する。両国とも軍や核兵器計画の拡張を続けている。
今月初め、中国は抗日戦争勝利70周年の式典を開き、過去最大級の軍事パレードを行った。同国は東シナ海や南シナ海で多くのアジアの隣国と領土紛争を抱えている。
北朝鮮は15日、米国や同盟国に対して、いつでも核兵器を行使する用意があると威嚇。今後数週間以内に長距離ロケットを利用した「新衛星」を打ち上げるとみられている。
日本政府は、米国を含む重要な同盟国の利益を守るため、軍隊の役割を拡張するよう国際的な圧力にさらされている。米国は1960年の新日米安全保障条約により、日本を防衛する義務を負っている。
アジア地域の研究に長年携わるキース・ヘンリー氏は、「日本は米国の地下室でまだ暮らしている42歳の子どものようなものだ」と指摘する。
東京を拠点とするヘンリー氏のシンクタンク「アジア・ストラテジー」は、政府の政策分析を専門とする。ヘンリー氏は今回の安保法案を、日本がついに「成長」し、今日の急激に変化する地政学的な状況では実効的でない曖昧(あいまい)な平和や民主主義といった概念を越えて動き出した姿を示すものだと語る。
ヘンリー氏は、中国の軍事力への対抗を含め、日本が地域の安全保障でより積極的な役割を果たすだろうと予測。「第2次大戦後に作られた米国の家から動き出した」「だが、自国の国益を守ることはリスクもはらむ」と語る。