オーストラリア東の海に位置するキリバス共和国は、世界で最も早く朝日が昇る国と言われる。海抜は、たった2メートル。地球温暖化の影響で、2050年までに首都タラワの8割が浸水すると予想され、国民全員がこのまま住み続けることはできない。
国が下した決断は「移住」だ。2015年3月16日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、13日に南太平洋の島々を襲ったサイクロン被害前のキリバスの様子を取材し、日本との深いつながりを紹介した。
教官に続いて「早く寝ろ」「仕事しろ」と繰り返す
移住を進めるに当たり、国は2000キロ離れたフィジーに10万人が住める土地を購入し、準備を進めている。アノテ・トン大統領は厳しい表情でこう語る。
「移住先の国でも貢献できるような人材を育てなければなりません。手に職を持ち、世界が欲しがる技術をもった人材です」
キリバスは「気候変動難民」と国際社会に訴えながら、建設業・調理師など手に職をつけるための努力を怠ってはいない。中でも若い男性に人気なのが「日本の漁師」だ。日本の支援で設立された漁船員養成センターで、1000人以上から選ばれた45人の研修生が1年間、共同生活を送りながら日本の漁業を学んでいる。
南の島らしいのんびりした雰囲気ではなく、団体行動演習と毎日の身だしなみチェックがあり、日本の大漁旗のもとでロック調にアレンジされたソーラン節に合わせて皆で踊る姿は真剣そのものだった。日本語の授業は、机も椅子もない教室の床に生徒たちが座り、教官の後に続いて、
「網を使え」「早く寝ろ」「カツオを持っていけ」「仕事しろ」
と繰り返す。教官は黒板に大きく「酒」と漢字で書き、「船で酒を飲むのは絶対ダメ」とも教えていた。
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