台風18号による大雨で排水作業中に流されて11日に亡くなった栃木県日光市の佐藤悦史(よしふみ)さん(25)。
母親の裕子さん(54)は「優しくて、気遣いのできる子だった」と、声を詰まらせた。
3人きょうだいの長男。大学で社会福祉を学び、日光市内の障害者福祉施設に就職した。
「スーパーに寄ると必ず、『何か買うものある?』と連絡をくれた」(裕子さん)。
東京にいる妹が病気になると、車を飛ばして駆けつけた。アイドルが好きで、コンサートを観に九州まで行くなど今時の若者らしい面もあった。
社会福祉士の免許を取得するなど仕事に打ち込み、充実した日々を過ごしていた。
事故当日の10日も「じゃあ、行ってくる」。大雨の中をいつも通り出勤したが、勤務先の近くを流れる小川が増水、点検中に配水管に落ちた。
約1時間後に救助されたが、意識不明の状態が続いた。
家族全員で励まし続けたが、徐々に鼓動は弱まっていった。
「最後は弟が『家は俺に任せろ』と大声で呼びかけて。きっと安心して旅立ったと思う」
弔問に訪れた勤め先の同僚が、仕事中の悦史さんを撮影した写真を見せてくれた。
「誇りを持ち、生き生きと働いていたのが分かった。職場を守ろうとして亡くなるなんて、優しいあの子らしい最後だったのかも」。
目を真っ赤に腫らし、つぶやいた。
今年8月の写真
http://amd.c.yimg.jp/amd/20150913-00000543-san-000-3-view.jpg
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150913-00000543-san-soci