「豪雨」対策会議10分で終了…人命より安保優先した安倍首相
屋根の上に逃れた住民の目の前で、荒れ狂った濁流が家々をのみ込んでいく――。驚きの映像に思わず息をのんだ人も多いだろう。
台風18号の影響による記録的な豪雨は関東・東北の幅広い地域を襲い、鬼怒川の堤防が決壊。甚大な被害をもたらしている。
茨城・常総市では、分かっているだけで8歳の子ども2人を含む25人が行方不明。
死者3人、負傷者28人に上るなど最悪の事態に発展しているが、災害対策の最高責任者である安倍首相は、人命救助より「アンポ」優先。
大雨被害の関係閣僚会議もたった10分で終了だ。不安な夜を過ごした人々を思えば本来、安保法案の成立どころではないはずだ。
常総市の鬼怒川の堤防が決壊したのは、10日午後0時50分。その時、安倍は官邸で公明党の山口那津男代表とサシで向かい合っていた。
政府・与党が来週中に安保関連法案の成立を目指す中、2人は参院の採決日程について話し込んだ。午後0時30分に始まった会談は約1時間に及んだ。
堤防の決壊直後から、建物に取り残された住民から救助要請が相次ぎ、警察・消防に加え、自衛隊も緊急出動した。
この日午前に安倍首相は「災害応急対策に万全を期す」と見えを切ったが、未曽有の豪雨被害に見向きもせず、頭の中は「アンポ」一色。
山口代表との会談を終えると、続いて午後1時36分から次のメンバーと話し込んだ。
国家安全保障局長の谷内正太郎氏、内閣情報官の北村滋氏、外務省総合外交政策局長の平松賢司氏、防衛省防衛政策局長の黒江哲郎氏、
同じく統合幕僚長の河野克俊氏と、いずれも安保関連法案の実務を担う政府高官ばかり。
会談時間は約40分。午後1時40分過ぎには、報道ヘリが堤防の決壊現場に到着。凄まじい濁流が町をのみ込む光景を伝え始めた。
ようやく安倍首相が関係閣僚会議を開いたのは、午後3時49分。堤防の決壊から、すでに3時間が経過していた上に、会議の時間はたった10分。
「この日未明、気象庁は栃木に特別警報を発令し、大雨被害の危機が迫っていたことは容易に判断できました。
ならば首相は人命最優先で緊張感を持って公務に臨むべきで、本来なら安保審議の相談にかまけている余裕などなかったはず。
しかも首相は安保審議で二言目には『国民の生命と安全、生活を守る』と豪語しています。
多くの被災者が“存立危機事態”を迎えている今こそ、国民の生命が第一。
災害対策に万全を期すため、安保法案の採決を一時、タナ上げしたって罰は当たりません。
それができないのなら、『国民の命を守る』なんて口先だけ。やはり首相は安保法案を成立させ、米国へのゴマスリが最優先なのでしょう」(政治評論家・森田実氏)
安倍首相は11日夜にはタカ派キャスターのネット番組に生出演。安保法案の“歴史的使命”を説明する予定だ。安倍首相の振る舞いは、つくづく人倫にもとる。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163831
【参考】
首相動静(9月10日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date1&k=2015091000116