業績が悪化している外食チェーン大手のワタミが、子会社で手掛けている介護事業を売却する方針を固めたことが九日、分かった。事業売却に向けた入札を実施し、損害保険大手の損保ジャパン日本興亜ホールディングスが参加した。ワタミは事業の多角化を進めてきた従来の戦略を転換し、居酒屋「和民」を中心とする飲食分野に経営資源を集中する。
ワタミは二〇一五年三月期末時点で有利子負債が三百億円超に膨らみ、主要な取引銀行がグループ展開の抜本的な見直しを求めていた。介護事業を売却した資金で負債を圧縮し、経営状況を改善する。
売却対象は、「レストヴィラ」という名称の有料老人ホームなどを運営する子会社の「ワタミの介護」(東京)。現在、東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、兵庫、広島の八都府県に約百十施設を展開している。
ワタミは、外食事業の社員が入社直後に過労で自殺して「ブラック企業」と批判されてイメージが悪化し、業績が低迷している。ただ介護事業は黒字基調にあり、入居者に過度な不安を与えることなく新たな運営会社に引き継げると判断した。
ワタミにとって最大の課題は国内外食事業で、一五年三月期の連結純損益が百二十八億円の赤字となる主因となった。一六年三月期の黒字転換を目指し、不採算店舗の整理や外国人観光客の需要獲得などを急いでいる。
ワタミは「ベンチャーの旗手」と呼ばれた創業者の渡辺美樹氏が率いて、居酒屋のサービスのノウハウを生かし、介護や高齢者向け弁当宅配事業に手を広げた。渡辺氏は一三年に経営を離れ、参院議員に転身している。
ソース
東京新聞:ワタミ、介護事業売却へ 業績低迷で飲食に集中:経済(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015091002000122.html