二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに備え、国土交通省は羽田空港(東京都大田区)の国際線発着枠拡大を予定している。これまで緊急時以外認めていなかった都心上空を通る飛行ルートを新設する方針で、品川駅周辺では東京スカイツリー(高さ六百三十四メートル)より低い高度約四百五十メートルを飛行。昼間の主要幹線道路に相当する騒音が予想されている。説明会が首都圏各地で開かれているが近隣住民からは安全性などへの懸念の声が上がっている。
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羽田には滑走路がAからDまで四本あり、現在の発着回数は一時間当たり八十回が上限で、騒音被害を抑えるため原則として東京湾上空を飛行している。離着陸時は、十分な揚力を得るため向かい風で飛行するのが望ましいとされる。
新ルートは着陸時に南風が吹く場合、国際線到着便が集中する午後三時~同七時に都心上空を飛行。年間で南風が吹くときに四割が新ルートを使う。通過する航空機はA滑走路着陸機が一時間当たり十三回、C滑走路着陸機が三十一回。C滑走路では二分に一回の頻度で着陸。併せて一時間に最大四十四回の着陸アプローチが行われる。
着陸機は埼玉県上空で進路を南東に向け、東京都心にさしかかると高度は千メートルを切り、品川区大井町付近では東京タワー(三百三十三メートル)より低い約三百メートルまで下がる。予想される騒音は同町付近で七六~八〇デシベルと地下鉄車内に相当する。南風でもそれ以外の時間帯や、北風が吹く時は今まで通り東京湾上空から着陸する。
国交省は、新ルートを設定した理由について「早朝・深夜を除くと発着枠は満杯で、これ以上の増便が難しい状態」と説明。成田より東京都心に近い利便性を挙げ「外国人観光客の急増に対応するため」としている。
都心上空から着陸するルートが実現すると一時間当たり発着回数は現在より十回増えて九十回、年間で現在の四四・七万回から三・九万回増やせると試算している。
国交省の担当者は「説明会で出た意見を踏まえ、来年夏までに環境影響への対策を取りまとめたい」としている。
ソース
東京新聞:羽田・都心新空路 1時間最大44回着陸 大井町では東京タワーより低く…不安の声:社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015090802000119.html