<海外勢はアベノミクスに疑念も>
2015年の海外勢の日本株売買が売り越しに転じた。
年初から8月第1週までに現物株と先物合計で約3.4兆円買い越していたが、8月第2─4週で計3兆6850億円の売り越し。
特に第4週は1兆8830億円と2008年8月からのデータで最大の売り越しとなった。
「日本経済に対する疑念を持つ海外投資家が増えてきた」と、ある外資系証券エコノミストは指摘する。
消費、生産、設備投資、物価、いずれも停滞感が強まる中で、アベノミクスへの信頼感が低下してきたことも、日本株売りの背景にあるという。
<「日の丸連合」が対抗>
海外勢の売りに対抗したのは国内勢。
国内年金の売買を経由する信託銀行は、8月第4週、現先合計で昨年12月第3週以来となる5155億円を買い越した。
市場では公的年金や共済などを含めた「公的資金」の買いとの見方が多い。
「公的資金」以上に買いを入れたのが個人だ。
8月第4週は現先合計で、2674億円の買い越しだったが、投資信託の7922億円の買い越しと合わせると1兆円超のプラス。
海外勢が過去最大の売りを見せるなか、週間で1.5%程度の下げにとどめたのは、こうした個人と公的資金の買いだ。
しかし、海外勢の売りは止まらず、4日の日経平均は一時500円以上の下落となり、26日に付けた安値を割り込んだ。
「日本経済への自信というよりも、値ぼれで安くなったから買ったという個人投資家は、大きな損を抱えることになりかねない」
(松井証券・シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏)と警戒されている。