日立、英国で鉄道車両「育成」 日本のもの作り移植
現地で工場開所式
2015/9/3 21:29
http://www.nikkei.com/content/pic/20150903/96958A9E93819688E2E19A80808DE2E1E2EBE0E2E3E7869BE3E2E2E2-DSXMZO9132005003092015TI1001-PB1-5.jpg
英国に納入する高速鉄道車両
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【ニュートン・エイクリフ(英北東部)=多部田俊輔】日立製作所が鉄道車両の海外生産を始める。
英国に8200万ポンド(約150億円)を投じて車両工場を建設し、11月から稼働する。新幹線で培って
きたものづくりの職人技などを現地に導入。英国から世界に打って出て、独シーメンスなど世界3強
を追う。
「鉄道発祥の地に工場を建設できて誇らしい」。中西宏明会長は3日、ニュートン・エイクリフで
開いた鉄道車両工場の開所式でこう述べた。開所式にはキャメロン英首相ら約500人が集まった。
工場の広さは東京ドームとほぼ同じ4万3000平方メートル。山口県にある笠戸事業所からの
駐在や生産開始時の応援などを受けて稼働。月産能力は35両で、来年には40両まで引き上げる。
現地での雇用は730人を見込んでいる。
「日本の優れた製造技術を移管し、競争力を高める」(中西会長)。新工場から技術者24人を
笠戸事業所に招いて3カ月間研修し、日本流のものづくりを習得してもらう。
日立は2003年から英国で受注活動を展開。05年にロンドンとケント州を結ぶ高速鉄道「クラス395」
の受注に成功。大雪でも運行する高い信頼性で評判を高め、12年には総事業費が1兆円に達する
高速鉄道「IEP」の受注につながった。新工場はIEP受注の条件だった。
その後も英国では受注が相次ぎ、現在の受注残は1000両以上に達する。16年3月期の鉄道事業
の売上高は前期比17%増の2000億円、営業利益も2倍近い150億円まで増える見通しだ。英国
での新工場の立ち上げは今後のグローバル戦略の試金石となる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ03HRR_T00C15A9TI1000/