7月下旬の華々しい発表会見から一転、ベルギーのリエージュ劇場のロゴマークに似ているとされる五輪エンブレム問題。渦中にある佐野研二郎氏(43)は大会組織委員会での会見で、
「(盗作の指摘は)事実無根。世界に類のないエンブレムだと確信している」
と自らの潔白を訴えた。疲労感をにじませ、眉間にシワを寄せた険しい表情は、
「このデザインで、みんなの気持ちを束ねたい」
と、破顔でガッツポーズを見せた、お披露目会見時とはまるで別人だった。
それは、今回の盗用疑惑を否定するだけでは収まらない事態に追い込まれているせいもあっただろう。
リエージュ劇場のロゴと似ているという指摘があってから、騒動はネット上で拡散する一方だ。
サントリーのノンアルコールビールのキャンペーンの景品として発表された、佐野氏デザインのトートバッグが、既存のデザインに酷似していると“炎上”。別のデザイナーの作品をコピーしたり、個人のブログの掲載写真を無断使用したりしていたとして、結局30種のうち8種類を自ら取り下げることになった。
事務所のホームページで、
「私の指示に基づいて(略)レイアウトする作業を行ってもらいました。(略)(スタッフから)渡されたデザインが第三者のデザインをトレースしていたものとは想像すらしていませんでした」
と釈明したが、焼け石に水。以降、東山動植物園(名古屋市千種区)のシンボルマーク、おおたBITO太田市美術館・図書館(群馬県)のロゴ……。これまでの作品に疑惑が相次いで指摘されている。8月13日には、騒動の発端となったリエージュ劇場とロゴのデザイナーのオリビエ・ドビ氏が、エンブレムの使用差し止めを求めて本国の民事裁判所に訴えている。
まさに泣きっ面にハチ状態の佐野氏。いったいどんな人物なのか。
現在のデザイン界で最も成功している若手の一人なのは間違いない。
父親が医師、兄は高級官僚という恵まれた家に育ち、多摩美術大学卒業後に大手広告会社の博報堂に入社。日光江戸村の「ニャンまげ」キャンペーンで頭角を現し、TBSのキャラクター「BooBo」などを手がけて2008年、35歳で独立。都内に個人事務所「MR‐DESIGN」を設立した。広報担当を務める妻は博報堂時代の同僚だ。
華々しいキャリアは、五輪エンブレムの選考へとつながっていく。
五輪エンブレムの応募は「東京ADC賞」など有名な7つのデザインコンペのうち二つ以上を受賞したデザイナーの作品計104点。相当の激戦だったはずだが、あるスポーツ紙記者は、
「『“サノケン”なら間違いない』と審査委員が思ったことは想像できる」
以下ソースで
http://dot.asahi.com/wa/2015082600057.html
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【五輪エンブレム盗作疑惑】佐野氏の原案もパクリ? 審査委員代表の釈明発言が火に油
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/440236/
また永井氏の発言そのものの信ぴょう性まで疑われている。これまで永井氏は審査経緯については五輪組織委員会から口止めされていたという。今回、カミングアウトしたとはいえ、佐野氏の原案デザインが示されなければ、リエージュのデザインとの類似性は判断がつかない。また、国内外の商標と似たものがあったというが、これでは、原案自体が“パクリ”だった可能性が出てくる。