「教師は一番底辺の存在。夢も希望もない」と、教師たちを追いつめる――。
確かに、尊い命が奪われるようなことは防がなくてはなならない。子どもが必死で出したSOSを、大人は必死で受け止めねばならない。
そのための政策や制度をもうけ、それを最大限に生かす努力は不可欠である。
だが、情報がシェアされない状況を「隠蔽」と捉え、「隠蔽=懲戒」と、先生の責任に押し付けつけることで問題は解決されるのだろうか。
私自身、「ここまでSOSを出しているのだから、どうにかできなかったか」と、なんとも言葉にしがたい感情に襲われたものだ。
でも、だからといって「これじゃ生徒殺人」は、少々言い過ぎ。うん、言い過ぎだと思う。
教師という職業は極めてストレスフルな大変な仕事。そんな“戦場並み”に大変な仕事についている先生たちが想像する以上に疲弊しているのである。
“子供のために”、“子供がかわいそう”と次々と雑用が課せられ、それでもゼロにならない“事件”に腹を立てる人たちが、
先生たちに厳しいまなざしを向ける。挙げ句の果てに、「隠蔽=懲戒解雇」とすべての責任を教師に課す。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kawaikaoru/20150825-00048807/
河合薫
健康社会学者(Ph.D.,保健学)。 千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。
気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。
2004年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了(Ph.D)。 産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究。
フィールドワークとして行っている働く人々へのインタビュー数は600人に迫る。 医療・健康に関する様々な学会に所属し、東京大学や早稲田大学で教鞭を取る。