経済危機のギリシャで市民による盗掘が急増
ギリシャでは新しいタイプの犯罪が急増し、警察が取り締まりに手を焼いている。それは、これまで犯罪とは無縁だった一般市民による盗掘だ。
金属探知機の許可申請が急増しているのは、そのためだと関係者はみている。金属探知機は古代の貨幣や遺物を探すのに用いられることから、ギリシャ政府は探知機の購入をすべて監視し、通常は犯罪歴のない申請者にのみ許可証を発行している。「申請者数が増えている背景には、この国の経済危機があると思います」と、アッティカ公安警察のエブゲニオス・モノバシオス警部補は話す。
ギリシャの経済危機が過去5年間で急速に深刻化するなか、ギリシャ先史古典文化財局の捜査担当者たちは、考古学的な遺物の盗掘や盗難が増えただけでなく、盗掘者の横顔も変化してきたと考えている。
ギリシャ危機以前、ほとんどの盗掘者は銃や麻薬を密輸する犯罪ネットワークに属していることが多かった。だが今では、普通の人々が現金を手に入れるために発掘用の道具を持ち、古代ギリシャの遺物を掘り起こし、売り飛ばすようになっているのだ。
国の遺産を守るべき各機関は、政府の財政削減によって予算不足と人手不足に直面している。「もっと人員が必要です」。モノバシオス警部補は、盗掘の防止と取り締まりに専念している捜査官はギリシャ全体で60人くらいだろうと推定している。各地の地元警察と協力することで捜査能力は高まるものの、広大で多様な地形が広がるギリシャ全域を取り締まるのは、並大抵のことではない。
違法にギリシャから持ち出された文化財が見つかることもある。たとえば、アトス山のディオニソス修道院から盗まれたビザンチン帝国時代の写本が2014年と2015年に米国のゲティ美術館とデューク大学で見つかった。また、2011年にアッティカで押収された新石器時代キクラデス文明の置物や船、像の一部は、2000万ユーロ(約27.5億円)近い価値があると見積もられている。
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画像(1000万ユーロで売却寸前で押収された女性の像) http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/081900227/ph_thumb.jpg